ｰ教室ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「雨だなー」

雨「……」

悠「天気の話しだよ。いちいち反応すんなって」

雨「ピクリともしてなかったでしょーが!!」

悠「生姜?」

雨「刺されっ!」

悠「刺されとかいわれたんだけど」

摩耶「痛いのと同時に沁みそうだね」

悠「どこに刺さるかでも色々と変わってくるしな」

亘理『どこにって……な、ナニいってのよぅ///!』

バシッ!
悠「ごふっ?!」

千世子「喉にいったのだ」

神姫「地獄突きっていうのよアレ」

【関羽】
本名:関･羽･雲長
生没年:?～219

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。劉備、曹操、諸葛亮……三国志には魅力的な人物がいくらでも登場するが、その中で中国人にもっとも人気があるのは関羽なのだ。なんといっても関羽は中国で神様として崇拝されているのだから、他の人物とは一段格が違うのだ。」

悠「お、おれはただ喉とか目とかに刺さったらって話しをしたかったんだが……なんで、ヘル･クラッシュ?」

亘理『……えっ?』

神姫「あの娘って耳年増よね」

美兎「溜まってんじゃないの?」

亘理『きしゃーっ!』

美兎「こらっ、襲ってくんな!」

千世子「関羽はその人生の半分以上を劉備の部下として使った蜀の忠臣なのだ。トレードマークは長いひげで、「美髯公」というあだ名があったのだ。戦いのときは自慢のひげが傷つかないように、髯を袋で包んでいたというから、そのこだわりが窺い知れるのだ。」

悠「おひげもえ」

摩耶「いまだったらギネスに載ってるかもね」

悠「おれの髪もギネスのらないかな」

神姫「キモさで?」

悠「不名誉すぐる…」

千世子「非常に義理堅い性格で、主君である劉備に命をかけて仕え、受けた恩義はたとえ相手が敵であっても必ず返すというポリシーがあったようなのだ。また個人的な武勇、兵士を率いる能力がどちらも高く、その部名は中国じゅうに知れ渡っていたのだ。敵である魏の軍師は「関羽は一万の兵士に匹敵する」といって関羽を恐れ、曹操にいたっては関羽軍団の猛攻を受けたとき、首都を別の場所に移動させて関羽の攻撃を避けようと検討したこともあるほどなのだ。」

美兎「ったく、ちょっとアンタ。アレ、亘理のこともっとちゃんと抑えときなさいよ」

悠「ヘル･クラッシュで喉を潰されかけて、なにをどうしろと」

美兎「手篭め」

亘理『きしゃーー!!』

摩耶「亘理ちゃんは可愛いね」

神姫「滑稽の間違いじゃない?」

雨「容赦なし、ね」

千世子「完璧な武人に見える関羽だが、大きな弱点も抱えていたのだ。関羽は非常にプライドが高く、自分の強さを鼻にかけて無茶な攻勢をかけたり、ほかの将軍や部下の武将に対して高慢な態度をとったのだ。」

神姫「いるわよねぇ、プライドが高くて鼻もちならないタイプ」

悠「そっすね」

神姫「なに?」

悠「どうしよう、本当に何もいってないし考えてもないのに……睨まれているっ!!」

摩耶「素数だよ、素数を数えるんだ」

悠「２…３、５…７…１１…１３…１７……１９。落ちつくんだ…『素数』を数えて落ちつくんだ…『素数』は１と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字……わたしに勇気を与えてくれる。」

神姫「……悠」

悠「は、はい?!」

神姫「Ruck（幸運を）Pluck（勇気をッ!）」

悠「神姫への好感度が上がった」

亘理『なんですと?!』

千世子「関羽は最期までこの弱点が仇となったのだ。関羽は防御を軽視して魏に全面攻勢をかけ、その背後を呉の将軍呂蒙に疲れて敗北し、首を切られたのだ。しかも呉に背後をつかれたのは、無茶な命令を出す関羽を恨んでいた部下が裏切ったのが原因なのだ。まさに身から出たさびだったのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」