ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「……うん、腕が戻ってきたぞ」

摩耶「どのくらい?」

悠「月下の夜会10分針クリア、ノー死に」

摩耶「おー、いい感じだね」

悠「もっとがっつり褒めてもいいんだぞ」

千世子「いいこ、いいこなのだ」

悠「……へんっ!」

千世子「なんなのだ、その態度は!失礼なのだ!」

摩耶「ほんとにねー。」

【張昭】
本名:張・昭・子布
生没年:156~236

千世子「失礼なあんちんは放っといて、じゅぎょーしますなのだ。支配者に向かって意見できる人間というのは貴重なのだ。嫌われれば遠ざけられ、乱暴な支配者であれば殺されてしまうからなのだ。またひとの話を聞くだけの度量を持っている君主でも、あまりに口うるさくいえば機嫌を損ねられてしまうのだ。それがいくら正しい意見であったとしてもなのだ。」

悠「崇に意見できるヤツは居ないけどな」

摩耶「悠君がいるじゃん」

悠「おれがいつ意見した?」

摩耶「意見もしてるし提案もしてると思うよ」

悠「こき使われてるだけだっての」

千世子「しかし、張昭は正義を貫こうという信念と、死の間際の孫策から孫権の今後を託されたという使命感があったのだ。さらに自分の考えを曲げない意思の強さを持っており、いかに孫権にうとましがられても少しも臆することがなかったのだ。」

摩耶「それでも対等に話しできるのは大きいんじゃない?」

神姫「態度自体はなってないけどね」

悠「あらら?わたくしの態度が悪いなんてどこがですか?」

神姫「……」

悠「無視はやめて。あと、せめてこっち見て!」

千世子「厳しく、重々しい顔つきの張昭は、まさに孫権の教育係だったのだ。まず孫策の死を悲しむ孫権を叱って仕事を始めさせたのだ。孫権が趣味の虎狩りでケガをしそうになると、主君とは英雄や賢者を使うものであり、野原で野獣を狩って遊ぶものではないと説教し、宴会で羽目を外せば故事を引用してそれをいさめたのだ。」

悠「小姑だな……」

摩耶「これが世話好きのちょっと素直じゃない幼なじみと仮定したら?」

悠「おいおい、それなんてエロゲだよ」

亘理『姉さん女房がお好み?』

悠「そうだな……五、六人くらいなら有りかな」

亘理『日本は一夫多妻制じゃないっ!!』

千世子「主君のありようについての張昭のいい分は正しく、孫権もよくいうことを聞いたのだ。しかし、政治においては張昭の頑固な性格から、ほかの部下と感情的な対立が起こることが心配されて役につけないこともあったのだ。」

神姫「女房が欲しいならいつでも行く準備できてるわよ」

悠「えっ、神姫が?」

神姫「京が」

悠「結婚はまだはやいよなー」

摩耶「逃げた」

悠「逃げてないよ。一夫多妻制になったらするよ」

亘理『ならないよっ!』

千世子「内政的には信頼のおる張昭だったが、外交となると上手くいかない場合もあったのだ。赤壁の戦いのとき、張昭は曹操に降伏するように進言したのだが、孫権は聞かなかったのだ。「江表伝」によると、皇帝になった後で孫権は、張昭の意見に従っていたら乞食になっていただろう、といって張昭を恥じ入らせた、とあるのだ。」

神姫「そういうふざけたことばっかり言ってると……どっかの狸親父みたいになるわよ」

悠「おいおい、あんなゴミ狸といっしょにするなよ」

後楽「おじさん、これでもメンタル弱いんだよ?いるの分かってていってるよね。聞こえる声で」

悠「聞こえてるなら少しは堪えろ」

後楽「反省したからお金ちょうだい。真桜の嬢ちゃんたら、手伝いしても最近200円しかくれないんだよ。」

悠「200円でも渡してる真桜が天使レベルだろ…」

摩耶「メンタルが半端ないね」

亘理『反省もしてないし、ひととしても最低だし』

後楽「おじさんさ、幼女から老婆までヒモだから自重しないよ?」

千世子「また、自分の意見が取り入れられないと意地を張ることもあったのだ。公孫淵という人物が呉に入りたい、と申し出てきたとき、張昭は反対たが、意見が通らなかったので宮殿に来なくなったのだ。怒った孫権は張昭の家の門を土で封印したが、張昭も内側から門を土で塗りこめてしまうのだ。公孫淵が呉の死者を殺したので、孫権は自分が間違っていたと謝罪にいったが出て来ないのだ。何度も張昭の家まで行き、ついには屋敷に火を放つと脅し、実際に火をつけても出て来ない。あわてて火を消させて孫権がずっともんの前から去らずにいると、張昭の息子たちが張昭を抱えて連れ出してきたのだ。孫権は改めて張昭に謝罪して、張昭も受け入れたのだ。張昭は孫権にとって重要ではあったが、非常に扱いづらい人物でもあったようなのだ。以上、張昭のじゅぎょーだったのだ。」
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