ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「……」

摩耶「不調だね。十五分針回ってるし」

悠「しかも一死してる。前だったら一死して十五分針ならクリアできてたのに」

千世子「大剣でいけばよくないのだ?股下から切りつけ離脱で楽なのだ」

悠「うーん……」

亘理『なに狩ってるの?』

悠「イビルジョー二対IN陸の闘技場」

亘理『……ひとりで?』

悠「ひとりで……おっ、死んだおれが」

亘理『ご、ごめん』

悠「いいよ、もう勝ちは決まってるし」

【陸遜】
本名:陸・遜・伯言
生没年:183?~215

千世子「じゃ、あんちんはゲーム一時停止して、じゅぎょーしますなのだ。陸遜たち呉の国が本拠地とした江南地方は人材が豊富なことで有名だったのだ。そのためか呉は優れた軍師がつぎつぎと現れるのだ。周瑜、魯粛、呂蒙という早死にした軍師たちの跡を継いだのは、早熟の天才軍師陸遜なのだ。」

悠「ええ、こんな半端なところで一時停止って」

摩耶「お預けプレイだと思えば平気でしょ」

悠「じらされるのは好きじゃないなぁ」

神姫「ひと思いに殺って欲しいのね」

悠「神姫さん、きっと何か勘違いしています」

千世子「陸遜は、もともと猛将だった呂蒙に武勇は及ばないものの、周瑜の分析力、魯粛の外交手腕、呂蒙の作戦立案能力という先輩三人の良い部分を集めたような万能型の軍師だったのだ。人格的にも優れており、自分を嫌うものでも実力があるなら重要な役目につけて使いこなしたのだ。しかも、先輩達と違って長生きしたため、陸遜は非常に長期間にわたって呉の軍事、内政、外交を支えることになったのだ。」

亘理『おー、オールマイティってやつだね』

悠「つまりおれだな」

神姫「マイノリティの間違いでしょ?」

亘理『マイノリティって何?』

摩耶「少数派って意味だよ」

千世子「陸遜は孫一族と敵対する陸家の出身だが、陸家が孫家と和解したため、陸遜は21歳で孫権に仕官し、孫策の娘を妻としたのだ。そして早くも歴史の表舞台に踊りだすのだ。呂蒙が荊州に陣取る関羽を倒す方法を考えていたとき、陸遜は呂蒙に策を進言し採用されたのだ。」

悠「つまり希少ってことだな」

雨「考え方が見事に歪んでるな…」

神姫「希少種ほど狩られるわよね」

悠「保護してください」

神姫「悠は、そう思って金銀火竜と接してきたかし?」

悠「滅殺してきました。すんません」

千世子「その方法とは、呂蒙が病気だと嘘をついて前線から退き、陸遜が代役になるというものだったのだ。関羽はそれまでの指揮官が名将呂蒙だったため警戒していたが、陸遜という名前も知らないような小僧が指揮官になったと聞き、安心して曹操攻撃に乗り出したのだ。呂蒙は本国から軍隊を連れて国境に戻り、関羽の背後をついて討ち取ったのだ。陸遜の策が猛将関羽を倒したわけなのだ。」

摩耶「でも、希少モンスターって基本狩られるよね。はぐれメタルしかり」

悠「経験値、レアドロップ、金、いずれかに引っかかるヤツは絶滅まで追い込まれても仕方ない」

亘理『いわれてみれば……』

摩耶「場合によっては捕まるまでボコボコにするってパターンもあるしね」

神姫「だから、ねっ?」

悠「え、なにその殺られても仕方ないでしょ?みたいな笑顔」

千世子「その後まもなく呂蒙が死ぬと、陸遜は関羽の敵打ちに来た劉備軍を迎撃する総司令官として勝利をあげ、呂蒙の後継者として認められたのだ。孫権は蜀に対する外交文書をすべて陸遜に添削させるなど、陸遜をおおいに信頼したというのだ。」

亘理『悠ちゃんて結果的にわるい方に終わるよね』

悠「まだ終わってないし、殺れる気もないぞ!」

神姫「殺りはしないわよ。なにかあったら次からは全力で打つだけ」

悠「ほぼ死刑宣告なんですけど」

摩耶「根性のスキル発動しとくといいよ」

悠「即死前提だろ、ソレ」

千世子「『演義』は陸遜の最後については詳しく書かれていないが『正史』を読むと、孫権に重用された名軍師の不遇な最期に驚かされるのだ。晩年の陸遜は、皇帝を補佐する最高の位である丞相となったのだ。このころ呉では、老齢の孫権の後継者をめぐってふたりの皇子が争っていたのだ。陸遜は兄である皇太子を後継者にすべきだと進言するために前線から首都へ向かったのだが、弟の皇子を支援する勢力がコレを恐れ、陸遜の悪評を孫権に吹き込んだのだ。年老いて判断力の鈍っていた孫権はコレを信じてしまい、陸遜を罵る手紙を何通も送ったのだ。長年仕えた主君に疑われた怒りは深く、陸遜は身体を壊して命を落としたというのだ。以上、陸遜のじゅぎょーだったのだ。」
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