ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「残暑がきびしいな」

摩耶「まだまだ殺る気満々の日差しだもんね」

悠「実際死人出てるからな…。熱中症やなんやかんやで」

神姫「……」

悠「神姫はわりと平然としてるよな」

神姫「暑いって言って涼しくなるなら口に出すけど、言っても無駄なことは口にしないの」

悠「ああ、手厳しい……」

千世子「じゅぎょーしまーすなのだ。周瑜という武将を語るうえで欠かせないのは、呉の二代目、孫策との熱い友情なのだ。周瑜と孫策は、孫策の家の事情から実の兄弟のように育てられたのだ。孫策の父、孫権が瀕死し、孫策がその跡を継ぐと、周瑜は孫策の分身となって孫策の勢力拡大に力をつくしたのだ。正確な状況分析を得意とする周瑜と、戦場でのひらめきで勝利をつかむ孫策のコンビは強力無比、向かうところ敵なしだったのだ。」

亘理『暑い友情ってどんなの?』

悠「そりゃもうシャインスパーク的な奴よ」

摩耶「多分ペダルを踏み込むタイミングを合わせるって意味でいってるんだろうけど……普通に分かんないよソレ」

神姫「例えが良いとか下手とかじゃなく。ダメね」

悠「純粋なダメだし?!」

雨「馬鹿ね」

千世子「周瑜は孫策と女性すら分け合っているのだ。貂蝉とならんで三国志を代表する美女「大橋と小橋」の姉妹のうち、姉の大橋は孫策の妻、妹の小橋は周瑜の妻となったのだ。孫策が不注意から重傷を負うと、孫策は後継ぎとなる弟の孫権に「国内のことは張昭、国外のことは周瑜に聞け」と、外交と戦争を一任したのだ。周瑜は孫策の意思に答え、呉を大国にのし上げていくのだ。」

悠「貂蝉……」

摩耶「おや、悠君の額から汗が」

悠「危うくトラウマスイッチが作動しかけたぜ」

神姫「貂蝉、貂蝉、貂蝉……」

悠「やーめーてー」

千世子「周瑜の最大の見せ場となる闘いが「赤壁の戦い」なのだ。曹操、孫堅、劉備という三国を代表する三人の英雄が初めてぶつかった戦いでもあり、中国で何度も映画の題材になるなど、数ある三国志の戦争の中でももっとも有名なものなのだ。」

悠「そういえば恋姫で唯一の解雇キャラ」

摩耶「それ以上は語るに及ばずだよ」

悠「解雇と真名が出ないのどっちが辛いかな」

摩耶「前者でしょ~」

千世子「「赤壁の戦い」の描かれかたは、『正史』と『演義』で大きく異なるのだ。まずは『正史』における赤壁の戦いから解説していくのだ。」

亘理『あかかべの戦い?』

神姫「せきへきよ。っていう、普通に口に出してたでしょ」

悠「お約束お約束」

神姫「は?」

悠「いえ、なんでもないです」

雨「パブロフの犬みたいになってるわよ」

千世子「曹操の軍勢が荊州の劉備を討つため南下してきたのに対して、劉備は呉の孫権に救援要求を出したのだ。大半の部下たちが降伏を進めるなか、周瑜は「戦うべし」と主張したのだ。周瑜はこの時点で、魏の大軍を破る勝算があったのだ。」

悠「ほぼ条件反射的に神姫の圧にひれ伏しちまう」

摩耶「散々殴られて来たもんね」

雨「駄犬の躾っていうのかしら?」

悠「さっきからお前失礼だよな」

雨「思ったことを口にしてるだけよ」

千世子「曹操の軍には長い遠征のため疫病がはびこっており、兵士たちはやる気を失っていたのだ。しかも曹操の軍は中国北方の平原で戦うのが得意で、水上に船を浮かべて戦う経験がほとんどなかったのだ。しかし、呉は長江という大河に沿って発展した国で、水上戦を得意とする兵士や指揮官がいくらでもいるのだ。曹操に水上決戦を強制すれば、たとえ数倍の敵であっても負けることはないというのが周瑜の考えだったのだ。」

神姫「私は反骨精神のある人のが好きだけどね」

悠「そのここは?」

神姫「そういう跳ねっ返りを叩き返してへし折ってやるの・」

悠「はーい、この人ほんものっす。やべぇっす。」

摩耶「まぁ、悠君……頑張って」

悠「なんか一任された?!」

千世子「呉軍の総司令官になった周瑜は、長江で曹操の水軍と対峙する。曹操を倒すために周瑜が選んだのは「火攻め」だった。呉の武将黄蓋の進言を取り入れた作戦は、黄蓋が曹操軍に降伏するふりをして数十隻の小舟で近づき、小舟の一部に火をつけて、曹操の船団に突っ込ませるというものだったのだ。長江ではちょうど突風が吹いており、曹操の船団はあっというまに火に包まれ、北へ逃げのびていったのだ。以上、周瑜のじゅぎょーだったのだ」
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