ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

神姫「汗疹の薬ある?」

摩耶「あるよ。欲しいの?」

神姫「えぇ。いくら?」

摩耶「無料(タダ)でいいですよ。ただ、結構匂うのと白地の服だと色が付いちゃうから注意してね」

神姫「えぇ、分かったわ。」

悠「なんだったら塗ってやろうか?背中か?」

神姫「胸の谷間と膝なんだけど」

悠「わかった。胸の谷間堪能させていただきます。」

神姫「膝の方先に塗ってくれたらいいわよ。この辺りなんだけど」

悠「おお任せろ。どこだ?」

神姫「ほら、ここ。」

ゴッ!!
悠「ぶぎゃっ!?」

摩耶「膝入ったね」

千世子「今、顔へっこんでなかったのだ?」

神姫「かもね」

【賈詡】
本名:賈・詡・文和
生没年:147~223

千世子「えーと……じゅぎょーしますなのだ。戦乱の世に生きる武将や軍師にとって、使える主君を選ぶことは人生を左右する大問題なのだ。仕える主君を間違えれば、出世できないばかりか、命を落とすことになりかねないのだ。今回紹介する賈詡は、4回も主君を変える不運にあいながら、魏の家臣にとって最高位の役職「大尉」まで上がり詰めた名軍師なのだ。」

亘理『悠ちゃん、生きてる?』

悠「……鼻から上が爆発的に痛い」

摩耶「油膜軟膏塗る?」

悠「……いや、効かないだろ」

千世子「はじめ賈詡は、漢王朝の首都を占拠して恐怖政治を強いていた豪族「董卓」に仕えていたのだ。その董卓が殺されると、賈詡は主君を変えながら戦乱の世を渡り歩き、最終的に曹操の配下となるのだ。」

悠「あー、絶対に痣んなるわコレ」

神姫「もうなってるわよ」

悠「……」

摩耶「いい感じにぶち込まれたもんね。」

悠「あー……こんな痛いのは久々だ」

亘理『自業自得。』

千世子「賈詡が得意としていたのは、相手を騙して裏をかいたり、敵同士を仲違いさせたりする「策謀」なのだ。賈詡の意見には、派手さはないがほとんど間違いがないのだ。そのため賈詡の才能は、その意見が採用された時よりも、むしろ却下されたときに輝いて見えるのだ。曹操が孫権劉備連合に大敗した「赤壁の戦い」を前に、賈詡は早急な攻撃に反対し、まず攻め取った荊州を固めるように進言しているのだ。曹操はこの意見を却下して攻撃を決行、結局大敗してしまったのだ。」

後楽「兄ちゃんはマゾいなぁ」

悠「どっから沸いた狸ジジイ」

後楽「ひとっ風呂浴びてたところだ」

悠「死ねばいいのに」

後楽「いくらなんでもドストレートすぎだろ」

千世子「曹操の配下になるすこし前、賈詡の4人目の主君、張繍が曹操と敵対。賈詡は夜襲作戦を進言して曹操軍を壊滅させ、結果的に曹操の愛した猛将典韋や、曹操の長男など多数の武将を殺しているのだ。その後張繍が曹操に降伏したため賈詡は曹操の部下になったが、親族や同僚を殺した賈詡をよく思わない者は多いはずなのだ。そこで賈詡は、同僚から反感を買わないためあらゆる手を尽くすのだ。」

神姫「お風呂、そうだ。ここで毎晩入っていったら少しはマシになるかしら」

亘理『膝の汗疹?』

神姫「膝?なんのこと?」

亘理『わぁ、消去されてる』

摩耶「でも、ここのは人工湯であって温泉ではないよ?」

神姫「あら、それもそうだったわね。」

千世子「賈詡は家に同僚を招待せず、同僚との私的な交流を極力避けたのだ。これは宮廷内に自分の派閥を作らない、つまり権力欲がないことを示す行為なのだ。子供たちの結婚相手にも平民を選び、家柄を高めないことで安全を得ようとしたのだ。以上、賈詡のじゅぎょーだったのだ。」
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