ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「神姫ってサプリ取る?」

神姫「取るわよ」

悠「あれ、意外」

神姫「疲れたときにはビタミン剤のむと効く気がするのよ」

亘理『気がするだけ?』

神姫「いくら私が完璧でも体内でどう栄養が拡散してるなんてわかるわけ無いもの。サプリなんてのは効いてるって思って飲むものなのよ」

摩耶「プラシーボだね」

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。夏候惇は戦場で将軍としても活躍したが、軍隊が戦いやすい状況を整える後方支援の仕事や、兵士たちを喰わせるための内政でも高い評価を上げているのだ。」

神姫「ところで、なんでサプリ?」

悠「このまえ百均でサプリ見かけたから聞いてみた。神姫はちなみにどんなの取ってる?」

神姫「お父さんが外国のを毎月通販してるからそこから貰ってる」

悠「さすが本格的だな……っか、おっさんサプリ飲んでんのか」

神姫「バッチリ効いてるからアレだけ手足が太いのよ」

千世子「『正史』には、夏候惇が内政に奮闘した美談が描き残されているのだ。干ばつやイナゴの被害によって、魏の農業が多大な打撃を受けた年のこと。夏候惇は中国の大河「黄河」に堤防をつくって水路を整備し、穀物を増産しようとしたのだ。兵士を動員して稲を植えさせ、さらに夏候惇自身も土を運んで肉体労働に従事したのだ。この時代、夏候惇のような地位の高い者が自ら肉体労働するのは異例中の異例であり、夏候惇が身分を鼻にかけない性格だったことが良く分かるのだ。」

悠「惇ちゃんカッコいい、惇ちゃんカッコいい!」

亘理『なんで二回言ったの?!』

悠「大事なことだからだ。もしかしたら土いじりが好きなのはおれの中に夏候惇の血が流れてるのかもしれないな」

神姫「董卓」

悠「豚はイヤです」

摩耶「劉表」

悠「ダメ男もちょっと……」

雨「雑魚兵1」

悠「バルサン焚いてやろうか」

千世子「『演義』での夏候惇は、後方でなく最前線で活躍する猛将として描かれているのだ。『正史』の夏候惇と比べると行動が軽率で、相手を軽く見て戦いを挑み、大敗を喫するという情けない失敗が何度か見られているのだ。」

悠「そんな惇ちゃんも可愛い、惇ちゃん可愛い」

亘理『なんでもいいんだね』

摩耶「アイドルとかに超熱中するのと同じだから」

神姫「武将好きって最近は女子のが多いらしいわね。歴女とか」

悠「BL系な」

摩耶「全部が全部それに括ったら本当に純粋な歴史好きから刺されそうだね」

千世子「曹操に仕えた人物は数多いが、中でも夏候惇は曹操から一番の信頼を得ていたのだ。彼はただひとり、曹操と同じ乗り物に乗り、自由に寝室に入ることを許されたのだ。当時の中国では権力者の暗殺が日常茶飯事で、たとえ親族であっても……いや、むしろ親族だからこそ、権力の乗っ取りを恐れて気を許せなかった時代だったのだ。夏候惇へのこうした待遇は、曹操の夏候惇への絶大な信頼の現れなのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」

悠「崇でいえば……本郷だな」

摩耶「本郷さん本人は夏候惇に似ても似つかないけどね」

悠「まぁ、あれはひと言でいえば……あれ、例えが浮かばない」

摩耶「僕もナルシストって言葉しか浮かばない」

悠「絶対に前世はナルキッソスだぜアレ」

神姫「話しがずれてきてるわよ」
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