ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「はぁ……一日何本ペットボトル空けてるか分からんくなってきた。」

亘理『脱水症対策?』

悠「いや、普通にのどが渇いてるだけ」

神姫「糖尿患者って喉が渇くらしいわよね」

摩耶「生活習慣病は不摂生から始まるらしいね」

悠「イタズラに不安をあおるのいくない」

神姫「でも、心当たりがあるでしょ?」

悠「ないよ?!少なくとも糖尿病には!」

千世子「インシュリン注射とかしてるのだ?」

悠「してねーっての!」

【夏候惇】
本名:夏候・惇・元譲
生没年:?~220

千世子「それじゃじゅぎょーしますなのだ。のちに中国の半分を支配することになる曹操もはじめの頃はわずかな兵力しか持たない一役人に過ぎなかったのだ。まだ力の弱かった曹操を支えていたのは、曹操の親族たちなのだ。夏候惇はその中でも特に曹操の信頼が厚く、重要な役目を果たし続けた隻眼の名将なのだ。」

悠「惇兄キター!」

亘理『大テンション』

悠「好きなヒーローが出るとテンションが上がる子供と同じだぜおれは。」

神姫「自分でいってて恥ずかしくない?」

悠「全然」

雨「無駄にタフなメンタル」

千世子「夏候惇はまだ若かったころ、周囲に「気性の激しい人物」と評価されていたのだ。夏候惇は自分の学問の師を馬鹿にされたため、怒りのあまりその男を殺してしまっていたのだ。しかし、世間の評判とは違って、本来の夏候惇は派手さを嫌う控えめな性格だったのだ。」

神姫「気性が荒いっていうか導火線が短い?」

悠「いるよな、ちょっとしたことでマジギレする人」

神姫「誰の……こと?」

悠「あの、なんで僕は首に指を突き付けられてるんでしょうか」

神姫「なんとなく」

悠「神姫さんのことじゃないですよ!」

千世子「出世したあとも財産を溜めこむことなく、余った財産は人々に分け与えていたというし、学問を好んで、戦場にも先生を招いて、将軍という高い地位にありながら進んで教えを受けたというのだ。」

摩耶「このあたりは恋姫の惇ちゃんとは違うね」

悠「あっちの惇ちゃんは、あっちの惇ちゃんで可愛いよ。おでこペチペチして斬首されたい」

亘理『死んじゃってるよソレ』

摩耶「新しい顔が飛んでくるんだよ」

悠「おれはワンパンマンかよ」

千世子「夏候惇という武将を語るうえで欠かせないのが、夏候惇は片目の武将だったということなのだ。曹操が三国時代最強の武将『呂布』の軍勢と闘ったとき、夏候惇の左目に矢が突き刺さり、失明してしまったのだ。この時の詳しい状況は『正史』には書かれてないが、『演義』ではフィクションとして大幅に脚色され、夏候惇最大の見場となっているのだ。」

神姫「片目だとさぞ不便でしょうね」

悠「死角は増すだろうけどより機敏になるんじゃないか?」

摩耶「特定の人はでしょ」

神姫「試してみたら?」

悠「お願いだから指を急所的部位に突き付け来るのやめてくだちゃい」

千世子「夏候惇は左目に刺さった矢を引き抜くと、「これは父の精、母の血だ」といって、夜に刺さった左目を食べてしまうのだ。『演義』において、夏候惇が肝のすわった人物と見られていることが良く分かるエピソードなのだ。」

亘理『うぇ、目玉食べるって……』

悠「火を通したら目玉焼きだな」

摩耶「あいたたっ……」

神姫「はぁ……」

雨「痛いわね」

亘理『悠ちゃん、残念すぎるよ……』

悠「わー、フルボッコ」

千世子「曹操軍の兵士や将軍は、夏候惇をその従兄弟「夏候淵」と区別するため「盲夏候」と呼んだのだ。しかし本人はこの呼び名を嫌っていたというのだ。今日のじゅぎょーはここまでで続きは次回なのだ。」
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