ー奇談ー學校へ行こう6

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「はいはーい、注目なのだ」

悠「だが断る!」

神姫「うるさい」

ドスっ!
悠「のどぼとけっ?!」

摩耶「どしたの?」

千世子「今日でクトゥルーのじゅぎょーが終わりなのだ」

悠「の、喉が……喉が……」

摩耶「おー、大分やったもんね」

【夜鬼】
別表記:夜のゴートン/夜魔
登場作品:HPラヴクラフト「未知なるカダスを夢に求めて」

千世子「ということで、ラスト行くのだ。夜鬼は、地球の夢の国の中でも人里離れた辺境に住む、飛行性のクリーチャーなのだ。夜の闇の中、蝙蝠のような翼を広げて空を飛ぶ夜鬼の姿は、漆黒の肌に角のある頭部といい、棘が生えた尻尾といい、伝説の悪魔そのものなのだ。」

悠「おれは今悪魔の所業を受けたけどな……」

神姫「なに?」

悠「悪魔のように美しい」

義鷹「口八丁手八丁だな」

神姫「それでもチョキで叩くけどね」

悠「殺意丸出し?!」

千世子「もし、彼らに近づくことが出来たなら、更に不気味なものを目にすることになるのだ。彼らの顔には目も鼻も口もなく、ただのっぺりとした肌があるだけなのだ。悪魔じみた姿の夜鬼だが、その外見が与える印象に反して旧支配者の手先ではなく、むしろこれと敵対関係にあるらしい「大いなる深淵の大帝」ノーデンスに仕える奉仕種族なのだ。」

神姫「じゃあ、肘でもいいけど」

悠「そこで叩くと必殺の類になるから」

摩耶「あれ、亘理ちゃんいないね」

義鷹「風呂にでも沈んでるんだろ」

悠「ちょっと、どっちか助けて!」

千世子「夜鬼たちは、夢の国の聖地であるングラネク山に人間を近づかせないという命令をノーデンスから受けているらしく、不用意にもこの山に近づいた人間は夜鬼の群れに攫われてしまうのだ。夜鬼は人間を抱え上げたまま空高く飛びあがり、自由自在に動く尻尾で犠牲者をくすぐってくるのだ。」

摩耶「お風呂大人気だね」

雨「ま、冥のところで借りなくてもいいし広いからね」

悠「もっとおれに感謝してもいいはずだろ」

雨「……」

悠「無視か虫だけに無視か。蜘蛛っ娘」

雨「つまんねーんだよ!」

千世子「こみあげる笑いを我慢しながら大人しくしていればやがて解放されるのだが、ここで抵抗してしまうと、ブホールという恐ろしい怪物が住む。ナスの谷に捨てられてしまうのだ。夜鬼が自分の手を汚さないのは、ノーデンスから人間に危害を加えないように命じられてるのかもしれないのだ。」

摩耶「僕らもこれ終わったら入ってく?」

悠「だな」

神姫「私が入るから駄目」

悠「じゃあ、混浴でいいだろ」

神姫「百歩譲って摩耶は認めても、悠は認めない」

千世子「人間相手には直接暴力を振るうことのない夜鬼だが、旧支配者側の生物との間で激しい戦いになることもあるのだ。こういう場合の夜鬼は情け容赦ない戦いぶりを示すので、ナイアーラトテップに仕えるシャンタク鳥は夜鬼を恐れているのだ。」

摩耶「僕はセーフらしいよ」

悠「摩耶は性別摩耶であるべきな感じだからな」

神姫「どういう位置づけよ」

悠「超VIP枠」

神姫「じゃあ、悠は隔離指定枠でしょ」

悠「蜘蛛以下?!」

雨「糸でふんじばって屋上から突き落とすぞ!」

千世子「夜鬼はまた、夢の国に住んでいるグール達と同盟をむすんでいて、グール達は遠距離を移動する必要がある場合には夜鬼に運んでもらうこともあるのだ。もし夜鬼の力を借りたいのであれば、グールに仲介してもらうのが近道になるのだ。以上、夜鬼のじゅぎょーで、クトゥルー神話のじゅぎょーだったのだ。」
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