ー奇談ー學校へ行こう6
ー教室ー
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
悠「あひぃふぁ……」
摩耶「あちゅひふへぇ……」
神姫「口にもの咥えたまま話すんじゃないわよ」
悠「アイス買ってきたんだから怒るなよ」
千世子「千世子はモナカアイスがいいのだ」
悠「渋いな。おれも大好きだけど」
千世子「そうなのだ?」
摩耶「ちなみに、チョコモナカアイスと小倉モナカアイスとどっちがいい?」
千世子「チョコなのだ」
悠「お前とは相容れないようだな」
千世子「えぇ?!」
亘理『チョコくらいのことで……』
【星の精】
別表記:星の吸血鬼
登場作品:ロバート・ブロック「星から訪れたもの」
千世子「16世紀の半ば頃、ベルギーの首都であるブリュッセルの近くにあった埋葬所廃墟に隠遁していたルドウィク・プリンという名の老錬金術師は、人間の眼にはその姿が写らない、謎めいた従者たちを周囲に常に控えさせ、様々な命令を与えていたことが知られているのだ。」
悠「チョコと炭酸はおれにとって毒なんだよ」
亘理『じゃあ、スイカバー食べられないね』
悠「食えるぞ」
亘理『チョコの種はいってんぢゃん』
悠「吐き出す」
神姫「汚い」
千世子「透明の従者の秘密が明らかにされたのは、魔女狩りによって異端審問所に引きだされたプリンが、獄中で書きあげたという禁断の秘儀書『妖蛆の秘密』が刊行された1542年――プリンの処刑から1年後の事だったのだ。」
摩耶「キノコの山のチョコ部分だけ食べて下の部分は残すっていうのは聞くけどね」
悠「あえていうならおれはタケノコ派だ」
亘理『食べれないくせに?!』
悠「ポッキーよりプリッツサラダ味派だ!」
神姫「聞いてない」
千世子「この書物には、「目に見えざる朋輩」「星の送りし下僕」とプリンが呼ぶ使い魔を召喚し、使役するための手立てがつぶさに書かれていたのだ。星の精は、その名前が示す通り、星間宇宙に住む地球外生物なのだ。」
雨「菓子くらいでめんどうなヤツだな」
悠「むしろ菓子だからめんどうなんだよ」
義鷹「なんでも生が良いだろ」
悠「義鷹の場合は生肉だろ菓子じゃない」
千世子「その体は無透明で、ひっきりなしにあげている気味の悪いクスクス笑いや、強狂的でヒステリックな笑いからその位置や様子を窺い知ることが出来ないのだ。しかしながら、『妖蛆の秘密』を用いてこの怪物を呼びだした人間は、否応なくその本当の姿を知ることとなるのだ。なぜならば、星の精の好物は動物の生き血であり、この吸血鬼が「食事」をはじめると、やがて血液がその透明の身体にいきわたり、深紅の巨大なゼリーが滲み出してくるように、その姿がはっきり見えるようになるからなのだ。」
悠「あぁ、義鷹の事だな」
義鷹「血液だけで腹が膨れるかよ。肉がいる肉が」
摩耶「ナマナマしいね」
悠「生肉の話しだけにな」
神姫「ミンチになればいいのに」
悠「?!」
千世子「星の精の身体は成人男性よりも一回り大きく、胴体からは先端に鋭い歯のついた触手を密着させて血液を残らず吸い取るのであるのだ。やがて血液を消化し終えた星の精は再び不可視の状態に戻るのだ。その時間は餌となった動物の体格にもよるが、通常、人間一人を吸いつくすのに約一分ほどの時間がかかるようなのだ。」
摩耶「でも、吸血生物って血以外のもぜったい吸ってるよね」
悠「体液はほぼ血液だしな。母乳だってそうだし」
神姫「なんでそこだけを抜擢した」
悠「おっぱいだいすき」
神姫「……」
悠「あぁ、生ごみを見る目だコレ」
千世子「ルドゥルク・プリンがかつてそうしていたように、『妖蛆の秘密』に記された正しい準備と儀式手順を踏みさえすれば星の精は便利な使い魔、あるいは護衛として使役することは可能であるのだ。但し、術者自身に高い技量と経験が求められていることは言うまでもなく、リスクに見合うだけの利益が得られるかどうかは甚だ疑問であるのだ。以上、星の精のじゅぎょーだったのだ。」
毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。
悠「あひぃふぁ……」
摩耶「あちゅひふへぇ……」
神姫「口にもの咥えたまま話すんじゃないわよ」
悠「アイス買ってきたんだから怒るなよ」
千世子「千世子はモナカアイスがいいのだ」
悠「渋いな。おれも大好きだけど」
千世子「そうなのだ?」
摩耶「ちなみに、チョコモナカアイスと小倉モナカアイスとどっちがいい?」
千世子「チョコなのだ」
悠「お前とは相容れないようだな」
千世子「えぇ?!」
亘理『チョコくらいのことで……』
【星の精】
別表記:星の吸血鬼
登場作品:ロバート・ブロック「星から訪れたもの」
千世子「16世紀の半ば頃、ベルギーの首都であるブリュッセルの近くにあった埋葬所廃墟に隠遁していたルドウィク・プリンという名の老錬金術師は、人間の眼にはその姿が写らない、謎めいた従者たちを周囲に常に控えさせ、様々な命令を与えていたことが知られているのだ。」
悠「チョコと炭酸はおれにとって毒なんだよ」
亘理『じゃあ、スイカバー食べられないね』
悠「食えるぞ」
亘理『チョコの種はいってんぢゃん』
悠「吐き出す」
神姫「汚い」
千世子「透明の従者の秘密が明らかにされたのは、魔女狩りによって異端審問所に引きだされたプリンが、獄中で書きあげたという禁断の秘儀書『妖蛆の秘密』が刊行された1542年――プリンの処刑から1年後の事だったのだ。」
摩耶「キノコの山のチョコ部分だけ食べて下の部分は残すっていうのは聞くけどね」
悠「あえていうならおれはタケノコ派だ」
亘理『食べれないくせに?!』
悠「ポッキーよりプリッツサラダ味派だ!」
神姫「聞いてない」
千世子「この書物には、「目に見えざる朋輩」「星の送りし下僕」とプリンが呼ぶ使い魔を召喚し、使役するための手立てがつぶさに書かれていたのだ。星の精は、その名前が示す通り、星間宇宙に住む地球外生物なのだ。」
雨「菓子くらいでめんどうなヤツだな」
悠「むしろ菓子だからめんどうなんだよ」
義鷹「なんでも生が良いだろ」
悠「義鷹の場合は生肉だろ菓子じゃない」
千世子「その体は無透明で、ひっきりなしにあげている気味の悪いクスクス笑いや、強狂的でヒステリックな笑いからその位置や様子を窺い知ることが出来ないのだ。しかしながら、『妖蛆の秘密』を用いてこの怪物を呼びだした人間は、否応なくその本当の姿を知ることとなるのだ。なぜならば、星の精の好物は動物の生き血であり、この吸血鬼が「食事」をはじめると、やがて血液がその透明の身体にいきわたり、深紅の巨大なゼリーが滲み出してくるように、その姿がはっきり見えるようになるからなのだ。」
悠「あぁ、義鷹の事だな」
義鷹「血液だけで腹が膨れるかよ。肉がいる肉が」
摩耶「ナマナマしいね」
悠「生肉の話しだけにな」
神姫「ミンチになればいいのに」
悠「?!」
千世子「星の精の身体は成人男性よりも一回り大きく、胴体からは先端に鋭い歯のついた触手を密着させて血液を残らず吸い取るのであるのだ。やがて血液を消化し終えた星の精は再び不可視の状態に戻るのだ。その時間は餌となった動物の体格にもよるが、通常、人間一人を吸いつくすのに約一分ほどの時間がかかるようなのだ。」
摩耶「でも、吸血生物って血以外のもぜったい吸ってるよね」
悠「体液はほぼ血液だしな。母乳だってそうだし」
神姫「なんでそこだけを抜擢した」
悠「おっぱいだいすき」
神姫「……」
悠「あぁ、生ごみを見る目だコレ」
千世子「ルドゥルク・プリンがかつてそうしていたように、『妖蛆の秘密』に記された正しい準備と儀式手順を踏みさえすれば星の精は便利な使い魔、あるいは護衛として使役することは可能であるのだ。但し、術者自身に高い技量と経験が求められていることは言うまでもなく、リスクに見合うだけの利益が得られるかどうかは甚だ疑問であるのだ。以上、星の精のじゅぎょーだったのだ。」