ー奇談ー學校へ行こう

ー教室ー

千世子「ソワソワ…ソワソワ…」

体育座りの千世子はドアをじっと見つめていた。

悠「よう、居るか?」

千世子「悠のあんちん!遅いぞこのやろー!」

体育座りを解き放ち、千世子は飛び付いた。
悠は片手で抱えるように受け止める。

悠「おっとと…どーして、この手の小娘は人に飛び付いて来るんだ?」

摩耶「悠くんはそういう属性なんだよなんだよね。」

悠「どんな属性だ!?」

摩耶「アレだよ急にモンスターが飛びかかってくる属性」

悠「なにそれ怖い。ドラクエだと毎回先制とられてるじゃん」

摩耶「あはは。」

千世子「摩耶もきたかー。千世子の授業が気に入ったんだな。」

摩耶「そうじゃないけど、そういうことにしといてあげるね。」

千世子「照れなくても優秀な生徒は嫌いじゃないぞ」

摩耶「あ、なるほど。」

悠「なんだ?」

摩耶「このチョコちゃんを憎めないの。なんか性格が悠くんに似てるからだよ。」

悠「似てねぇって。」

千世子「チョコじゃなくて千世子な。」

悠「チョコかピヨコでいいじゃん。」

千世子「せめて先生をつけろー!」

悠「つけたらピヨコでもチョコでもいいのか。」

摩耶「あはは。」

千世子「それより二人が持ってるそれはなんだ?」

二人が背負っている荷物を見た。

悠「あ、これかパイプ椅子だ。」

千世子「椅子?」

摩耶「さすがに床に座りっぱなしで話聞くのは辛いからね。あと、チョコちゃんにミカン箱。教卓代わりにね」

千世子「わーい、ECOな教卓だぁー。って、なんでミカン箱だよ!!」

ノリツッコミで箱を叩きつけた。

悠「いや、サイズ的にはぴったりだろ。」

千世子「ぴったりちゃうし!これだと千世子が座らないとダメじゃん!見下ろされてるじゃん!」

摩耶「立てっても悠くんには見おろされるけどね」

千世子「悠のあんちんは大きすぎなの!」

悠「俺より大きいのいっぱいいるよな?」

摩耶「いっぱいかどうかはともかく、金剛くんはぶっちぎりなのは確かだね。」

悠「あれは規格外生物だからな。」

千世子「そんな生き物がいるの?」

悠「いるぜぇ。っか、俺の知り合いやツレは規格外のばっかりだからな。」

摩耶「悠くんがいえる立場の生き物じゃないけどね。」

悠「俺は至って普通だよ」

千世子「悠のあんちんは千世子と同じ吸血鬼の末裔なのだ。目が証拠だし牙もある。」

悠「これは両方母親譲りの遺伝だし、お前のはカラコンだろ。っか、カラコンやめなさい。目が悪くなるぞ。頭いいならそのくらいわかるだろ。」

千世子「むー!」

悠「むくれられてもなぁ。」

摩耶「実際、吸血鬼なんじゃないの?」

悠「誰がだ。日中歩きまわるし、ニンニクも食うし、十字架も余裕だぞ」

摩耶「らしいよ?」

千世子「その程度の弱点は克服したわけだな。さすがだ」

悠「帰るわ。」

千世子「あー!あー!まってよ、悠のあんちんー!」

摩耶「授業しなかったなぁ。」
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