ー奇談ー學校へ行こう5

ー壱階空き教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業……工事が始まろうとしていた。

悠「ふぅふぅ……四つん這いでの作業は辛いな」

摩耶「がんばれ~」

悠「あら、摩耶さんは脚立の上でご休憩?」

摩耶「働く男の人って素敵だよ」

悠「そんなこといわれて……やる気になっちゃうだろ」

摩耶「ちょろい」

悠「なんかいったか?」

摩耶「背汗凄いよって」

悠「超べたべたしてりゅ」

義鷹「お前ら暇人だろ」

悠「仕事人だよ!」

摩耶「あれ、メフィさんは?いっしょに魔道具探ししてたんじゃ?」

義鷹「あぁ、見つかった。」

悠「お、マジか」

義鷹「ただし、見つかっただけだ」

悠「分かりやすくいうと」

義鷹「壊れてる」

悠「あー?」

メフィスト「壊れてはいまセーンよっ!」

悠「じゃあなんだ?」

メフィスト「ンーフフッ~。ただ、魔力がキレてるだけデースよ」

悠「じゃあ、補充してくれよ」

メフィスト「ソウ、簡単にはなかなか……」

悠「……何が必要なんだ」

メフィスト「万年氷と焔魔岩」

悠「どっちも聞いた事ねぇよ!」

メフィスト「どちらもここにアリマース」

キラキラ……
透明度の高い氷の塊り。魔界の産物で溶けることがない。

ゴォォォ……
陽炎揺らめく石、ときおり火の粉を吹く。

悠「あるんじゃん。」

メフィスト「ターダ、長いこと放置してあったのデ、火力と冷気が失われているのデース。」

摩耶「つまり綺麗なだけの氷っぽいのと不思議と火の粉を吹く石ってこと?」

メフィスト「ザックバランニ言えばそうデース」

悠「なら、本来の機能に戻すにはどうしたらいい」

メフィスト「簡単デース。燃やして冷やす」

悠「あー?」

メフィスト「万年氷は極限まで冷やして、焔魔岩は極限まで焼く。そうすれば永遠に凍り続けるし永遠に燃え続けまマース」

悠「冷蔵庫入れて、コンロにでもかければいいのか?」

メフィスト「もっともっと、超火力と超低温にさらさないとダメデースヨ」

悠「もっと超火力?」

摩耶「超低温……希釈冷凍でどのくらいだっけ」

悠「ヘリウム3とヘリウム4の混合液で、1ケルビンから10-3ケルビン程度の極低温だな、でも核断熱消磁を使ったら更なる超低温に……」

摩耶「どっちも難しいね」

悠「逆に超高温だったら加速器「RHIC」を使って亜光速まで加速した金原子核同士の衝突で、約4兆度……あのゼットンの火球の四倍もの火力を誇らせることができるが」

摩耶「加速器って……米ブルックヘブン国立研究所にまで行く気?」

悠「行ったとしても貸してもらえないだろうな。四兆度までいったら世界最高記録なのに」

義鷹「っーかよ、揺光のやつに焼かせたらいいだろ」

悠「……ああ、なるほど。盲点だった」

義鷹「色々抜けすぎだろ」
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