ｰ壱階空き教室ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業……工事が始まろうとしていた。

悠「さーて、今日も掘るか」

摩耶「でも、流石に地面硬くなってきたね」

悠「だな、もう後は義鷹と如意機パワーメインで頑張ってもらおう」

義鷹「俺の如意機は掘削道具じゃねーぞ」

悠「釣竿とかに使ってるじゃん」

義鷹「それはそれだ。」

摩耶「けど、罰あたりだよねー」

悠「あー?」

摩耶「だって、おもいっきり棺桶(中身入り)に腰掛けて話してるし」

悠「違う違う。これ棺桶じゃなくて椅子だよ」

義鷹「棺桶だろ」

摩耶「思い込むにしても無理があるよね」

悠「……なんで、こんなものを掘り当てちゃったんだろうな」

摩耶「それの根本辿ると亘理ちゃんのせいになるよ」

悠「亘理……いや、おれのせいだな」

義鷹「へっ」

悠「なんで鼻で笑った」

義鷹「いいや、別に」

摩耶「このタラシが」

悠「だれがみたらし団子だ」

義鷹「なんにしろこのままにしとくのも邪魔だし……捨てるか?」

悠「お前……捨てるってどこに」

義鷹「焼き払ってもいいし、井戸の中に落としてもいい」

悠「あ、なるほど。あの井戸は地獄に繋がってるんだっけ」

義鷹「あぁ、地獄にも繋がってる」

摩耶「「にも」ってことは他にも?」

義鷹「繋がっている可能性がある。たまに魔物も釣れるからな」

悠「マジで?!」

摩耶「完全犯罪可能だね。あの井戸」

悠「いや、ここに居る奴ら完全犯罪出来るのばっかりだけどな……」

義鷹「っで、捨てる前に開けてみるか?」

悠「腐敗した死体とか見たくないんだけど……」

摩耶「仮に死体が入ってたら本当にまずいけどね」

義鷹「死臭はしねぇぞ」

摩耶「悠君、作業の邪魔だしもう処理しちゃおうよ」

悠「ああ、おれが開ける流れなんだ……。」

摩耶「そりゃもちろん」

悠「分かったよ。開けますよっ……。んっ……固っ……っか、釘打ってる様子もないのに、なんだこれ……まったく開かないぃぃぃっ!!」

義鷹「なんだ、封印してあんのか?」

摩耶「そういえばぶん投げたのに壊れなかったしね」

悠「はぁはぁ……ダメだな。人力では開かない固さだ。義鷹、ぶっ壊せ」

摩耶「THE･力技」

義鷹「封印施してるなら壊すのは難しいが……別に如意機で封を消せばいい」

悠「なにそれ、そんなこともできるの?」

義鷹「まぁな、正確に言うと結界を妖力として分解して吸収する……だがな。」

悠「超チートじゃん。お前自体も吸収能力持ってるのに武器も?」

義鷹「違うな。俺の能力をコイツに写した……如意機は武器であると同時に俺の体の一部でもある……だから、生物といっても間違いじゃない」

悠「よーわからん」

義鷹「よし、もうタダの棺になったぞ……ただ、この魔力質はどっかで……?」

悠「よーし、開けるぞ!!」

ガララ!
メフィスト「小鳥遊サーン、ちょっとお話しが……あぁぁぁっ!stop!ソレを開けてはいけまセーン!!!!」

悠「へっ?」

がたん……

継接ぎのだらけの女「……」

メフィスト「オーマイゴッド……」

摩耶「悪魔がオーマイゴッド?!」

義鷹「驚くのはそこか?」