ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(1/2/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

千世子「はぁはぁはぁはぁ…んっ…はぁはぁはぁはぁ!」

千世子は肩で息をしながら教室のドアを勢いよく開けた。
ただでさえボロい木の扉が壊れないか心配だ。

悠「おう、ぴよこあけおめ」

摩耶「やほーちょこちゃんあけましておめでとう」

神姫「あけましておめでと」

花描「やぁ、千世子ちゃん」

四人が居ることを黙認して、千世子は悠に飛び付いた。

千世子「あんちーん。」

悠「ヒョイ」

花描「おっと…」

とびつきを悠は避けて空中浮遊中の千世子を花描がキャッチした。

千世子「あんちん。なんで避けたのだ!」

悠「前にいっただろ。人に飛び付いたらダメだって忘れたのか?」

千世子は花描の腕のなかで首を左右に降った。
下に降りて、悠の前に立っていう。

千世子「飛び付いていいですか?」

悠「仕方ないな。はい、おいで。」

千世子「わふぅー!」

悠が両手を広げると、千世子は仔犬のように悠の胸に飛び付いた。
わしゃわしゃと頭をなでながらいう。

悠「よーしよしよーし。」

千世子「はわぁ、あんちんにナデナデしてもらうの久々なのだ。千世子、年末からみんなに会えなくて寂しかったのだ」

悠「あー…俺はうちの事とかあったし」

摩耶「サッカーしてたけどね」

悠「コホン」

花描「おれもけっこうゴタゴタしてたからな」

悠「神姫は?」

神姫「別に普通よ」

悠「あー左様ですか」

神姫「なに?」

悠「いえ、別に…」

悠は腕の中の千世子を肩車にポジションチェンジしている

神姫「というか…悠、お正月に電話でなかったでしょ」

悠「あー……携帯、充電してなかったんだ。」

神姫「そんなことだと思った…」

千世子「あんちんの髪は長いしさらさらなのだ。」

千世子は悠の髪で遊び始めた。

悠「なんか用事があったのか?」

神姫「一緒に初詣いかないか聞こうと思っただけよ」

悠「へ?」

摩耶「あれあれ~」

花描「もしかしてデート誘いだったのか?」

神姫は呆れたようにいった。

神姫「妙なこと言わないでくれるかしら。うちの父が悠も誘えとうるさいから連絡しただけよ。」

悠「あー道玄のおっさんの提案か。まぁどっちにしろ行かなかったよ。俺は人混みは苦手だし」

神姫「あっそ。」

千世子「千世子も初詣はいってないのだ」

悠「お年玉は貰えたか?」

千世子「それはもらったのだ。あとね、あとね、おもちもついたのだ」

摩耶「お正月楽しんだんだね」

千世子「うん!けど、みんなに会えないのはやっぱり寂しかったのだ。」

花描「今日からまた授業で会えるからよかったな」

千世子「うんなのだ!」

悠「っか、バカだな。会いたいなら連絡しろよ。別に授業でなくても遊びに来てやるから」

神姫「電話に出ないくせによくいうわ」

悠「むっ…」
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