ー奇談ー學校へ行こう5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「あ゛ー……筋肉痛だ」

亘理『もんであげよっか?』

神姫「筋肉を潰すようにね」

悠「それ、ただの肉体破壊だろ?!」

亘理『いや、私は言ってないよ』

千世子「筋肉痛って揉むとなおるのだ?」

摩耶「んー……肩コリは治るかもね」

【大いなる種族】
別表記:偉大なる種族
登場作品:HPクラフト「時間からの影」

千世子「はい、じゅぎょーします。「大いなる種族」は、肉体を持たない精神だけの生命体なのだ。精神のみでは三次元世界に干渉できないのか、彼らは途方もない昔から暮らしやすい環境と強靭な肉体を持つ生物を探しだしては時間を越えて精神を交換し、種族全体の集団移住をくりかえしたのだ。」

亘理『あれ、義鷹は?』

悠「穴掘ってもらってる」

摩耶「結局棺桶ってあのままだっ?」

悠「あのまま」

神姫「ついに誰か殺したの?」

悠「殺してねーよ!っか、ついにってなんだ」

千世子「「ナコト写本」などによれば、イスという銀河の彼方にある世界(惑星とも)に住んでいたこの種族が、両生類状の生物の肉体を捨てて地球へ到来したのは4億8000万年前のことなのだ。移住先に選ばれたのは「古きもの」に続いて地球へと移住し、オーストラリアに住んでいた円錐状の生物だったのだ。」

神姫「いつかは殺ると思ってたから」

悠「神姫さん、神姫さん、私そんな悪人ちゃいますがな」

神姫「……」

悠「そこで黙るなよ……。」

千世子「10フィートほどもあるこの生き物の円錐状の胴体から4本の触手めいた腕が生えているのだ。2本には会話にも利用される鋏状の腕が、もう一本には先端に3つの目を備えた球形の感覚器官が、残る一本には漏斗型の付属器官がついており、底部にある粘着層を伸縮させて移動することが出来たのだ。」

亘理『……つまりどんな形?』

摩耶「昔のアニメの悪者のメカを生き物にしたような形」

雨「分かりにくっ?!」

悠「粘着層っていうのがエロい」

神姫「ナメクジでも這わせてれば?」

悠「泣くぜ?」

千世子「この生物は、6億年前に地球を含む太陽系のいくつかの惑星へと移住してきた「盲目のもの」と呼ばれる空飛ぶポリプ状の生物から狩りたてられ、絶滅の危機にさらされていたが、「大いなる種族」はこれと戦って撃退し、現在はグレートサンデー砂漠の底に沈んでいる機械化都市ナコタスを建設したのだ。彼らはこのナコタスを足がかりにして様々な時代に斥候を送り出し、行く先々の技術や情報を収集したのだ。」

雨「ナメクジくらいで情けない」

悠「うるせー、アシダカグモ!」

雨「ジョロウグモだっ!」

摩耶「その違いにはやっぱり拘りあるんだ」

雨「あんな乱暴者とは違う」

千世子「そうした中には人間と精神を交換し、記憶喪失をよそおって何食わぬ顔で生活していたものも居るのだ。肉体を奪われた人間の精神は円錐生物の体に宿り、「大いなる種族」のために自分のしる未来の情報を管理する仕事に従事した後、記憶を消されて元の体に送り返されたのだ。」

亘理『アシダカグモって乱暴なの?』

悠「バリバリにゴキブリ食う、目のまえにゴキブリが居たら襲う、っか目のまえに虫が居たら殺しにかかる」

亘理『うえっ』

雨「まったく品が無い」

神姫「蜘蛛の品格って何?」

雨「綺麗な巣作りと色合い」

千世子「ナコタスは4億年以上に渡り繁栄したが、5000万年前に再び侵略してくる「盲目のもの」たちによって崩壊する運命に遭ったのだ。「大いなる種族」は当然ながらこのことを予見していて、円錐生物の肉体が死を迎える前、人類が滅亡してから20000年後の地球の支配種である甲虫類と肉体を交換して難を逃れたのだ。いつか地球が滅びるときには、彼らは水星の球根生物へと入れ替えることになっているのだ。これらはこのようにして、時間というものが存在する限り生き延びていくのである。以上、大いなる種族のじゅぎょーだったのだ。」
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