ー奇談ー學校へ行こう5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「管理人ちゃん、こわい、管理人ちゃん、こわい……」

神姫「……なにこれ?」

摩耶「ごぞんじ小鳥遊悠君です」

神姫「……今の様子だと「たまなし」ね」

悠「び、び、びりびりりびびりちゃうし!」

千世子「びりびり?レールガン?」

亘理『なになに、ガリレオの話し?』

摩耶「レールガンって聞いたらソレが出てくるんだ」

悠「おれは完全に機甲戦記ドラグナーが思い浮かぶけどなレールガンって言ったら」

【ショゴス】
別表記:ショグゴス
登場作品:HPラヴクラフト「凶器の山脈にて」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。緑色をした原形質の塊であるショゴスは、我々が良く知っているスライムやアメーバを思わせる巨大な不定形生物なのだ。数十億年前の地球にやって来た「古きもの」に造られた人工生命体であり、その体は胚性幹細胞(ES細胞)に似た性質の特殊な細胞で構想されていて、「古きもの」の求める様々な用途におおじて、自由自在に目や耳、手足などの器官や部位を発生させることが出来たのだ。」

悠「義鷹って……」

義鷹「スライムじゃねーぞ」

悠「ですよねー」

摩耶「ゲル状にはなれないの?」

義鷹「出来なくはない」

千世子「このようなショゴスの細胞が原初の海で独自の進化を遂げたのが、現在、地球上で繁栄しているすべての生物なのだと言われているのだ。古生代カンブリア紀における爆発的な生物種の増大は、「古きもの」ないしは他の旧支配者の意図的な介入によるものかもしれないのだ。」

悠「じゃあ、広い意味だとおれもショゴスだな。神姫も」

神姫「……」

悠「穴があきそうなほど睨まれてる」

神姫「……穴開けて欲しいの?」

悠「いえ、自分ピアスとかしないんで勘弁してください」

千世子「「古きもの」にとって、ショゴスは大都市を建造する土木作業機であり、日常の家事を任せる召使であり、彼らに変わって異種族と戦う兵器であり、同時にまた食料ですらあったのだ。クトゥルーとその眷属たちが地球へと進行してきた際には、ショゴスは「古きもの」の尖兵となってクトゥルーと戦ったのだ。」

摩耶「万能だね。働かせて戦わせて食べもできるなんて」

悠「ピクミンの酷版みたいだな」

神姫「敵には喰われるじゃない」

悠「白ピクミンは毒だしな。喰われるのが役目だ」

摩耶「あれってマンドラゴラと同じだよね」

悠「マンドラゴルァ……かな。」

雨「言い方だけでしょそれ」

千世子「しかしながら、数十億年という歳月はショゴスの知恵と力を大きく進化させたのだ。1億5500万年前、ついに「古きもの」の精神支配を打ち破るだけの抵抗力を獲得したショゴスは、彼らを奴隷化させてきた「古きもの」に反旗を翻した。この反乱にはクトゥルーの意図が介入していたと思われるのだ。「古きもの」はなんとかこの反乱を治め、反乱奴隷を南極の地下に封印したが、一部のショゴスはコレを逃れて地球各地に散らばったのだ。ある者たちは他の旧支配者に仕え、ある者たちは人間の姿に擬態した高位のショゴスを中心にコミュニティを造っているというのだ。」

悠「自分の兵に裏切られるのほど滑稽なものはないな」

神姫「裏切りは世の常よ」

悠「織田さんなんか裏切られまくり人生で焼かれるしな」

摩耶「まぁ、本人も焼討ち好きだしね」

千世子「「エイボンの書」によれば「大いなるショゴス」ともよばれる最古のショゴス、クゥッグオルは、「古きもの」への反乱後ウボ=サスラに仕えているのだ。一説によればショゴスはウボ=サラスの生み出した分体をもとに「古きもの」が合成したというのだ。これが真実ならば、ウボ=サスラが全ての生命の源と言われるのもうなずけるというものなのだ。なお、ネクロノミコンを著したアヴドゥル・アルハザードはなぜかショゴスの存在を空想上の存在と切って捨てているのだ。以上、ショゴスのじゅぎょーだったのだ。」
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