ー奇談ー學校へ行こう5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「……どう考えても構造上、こっちの教室をブチ壊したい」

摩耶「ボイラーがここでしょ?だとしたら……ここと繋げるの?」

悠「ああ、幸い此処なら配管通すのも近いし」

神姫「個人の手でそこまで大がかりなことする気?」

悠「まぁ、場合によれば業者に頼むとしよう。とりあえず溶岩と黒曜石の採掘しないとな」

摩耶「ネザーゲートでもひらくの?」

千世子「はーい、その辺にしてじゅぎょーしますのだ」

悠「ただ、ぶっ壊すって言ったらおれが管理人ちゃんに壊されそうだよな」

神姫「手伝うわ」

悠「なんでやねん」

【バイアクヘー】
別表記:ビヤーキー
登場作品:オーガスト・ダーレス「永劫の探求」

千世子「ハスターに従う奉仕種族として知られるバイアクヘーは、コウモリのような翼をもち、蜂とトカゲを混ぜたような姿をした、星間宇宙に住まうクリーチャーなのだ。」

亘理『ビヤーキーってBLTサンドに挟むヤツだっけ』

悠「ニャルラトホテプだけな」

摩耶「蜂と蜥蜴ってえらい組み合わせだよね」

神姫「熱に弱そうね」

悠「むしろ寒さじゃね?」

千世子「アーカムのミスカトニック大学で哲学の教鞭を執っていたこともある神秘学と宗教学の泰斗、ラバン・シュルズベリイ博士が著した「セラエノ断章」によれば、地平線上におうし座のアルデバランがのぼっているとき、特殊な石笛を吹いたあと、ハスターを讃える呪文を高らかに讃えることで、バイアクヘー召喚することができるのだ。」

神姫「経験値稼ぎには向かないわね」

悠「召喚した奴を狩るなよ」

摩耶「最近て安定した稼ぎ場がクリア後ってゲーム多いよね」

悠「まぁ、地道に歩きまくって稼げってことだろ」

千世子「クトゥルーの半兄弟でありながら、根強い対立関係にあるハスターは、クトゥルーに逆らう者に限った話しだとは思われるが、人間に助力の手を差し伸べることがあるのだ。そのため、バイアクヘーはクトゥルーの眷属ないしはその崇拝者たちに追い詰められた際の緊急避難のために召喚されることが多いのだ。またアメリカのニューイングランド地方にある港町キングスポートにおいて、ユール(冬至)の日に開催される秘密の儀式では、バイアクヘーに似た生物が目撃されることがあるのだ。」

亘理『でも、終盤で経験値二倍とかのアイテム手にしてもなんだかなぁーってことになるよね』

悠「ああいうのは中盤でカジノとかで割高の景品として置いてるくらいが良いんだよな。時間掛けたら取れるけど別に無理して取らなくてもいいってところ」

摩耶「でも、絶対に取るでしょ」

悠「とるね。リセット繰り返して高価な装備全部持ってく」

神姫「THE・バランスブレイカー」

千世子「ただし、力強い手足で召喚者を抱え上げたバイアクヘーは、脆弱な人間の肉体について一切考慮することなく、大気圏であっても時速七十キロに達する速度で一気に空高く飛んでいってしまうので、魔術的な力で人間の精神と肉体をあらゆる衝撃から物理的に保護する黄金の蜂蜜酒を必ず事前に飲んでおく必要があるのだ。」

亘理『でた、黄金のはちみちゅしゅ』

悠「黄金の蜂蜜酒」

摩耶「ゴールドエクスペリエンスで殴られてもいいかもね」

悠「うおおおっ!生命エネルギーが溢れる!!」

神姫「うるさい」

悠「すいません」

千世子「バイアクヘーは翼で羽ばたくだけでなく、蜂の腹部を思わせる形状の下半身の先端にある「フーン」という器官を用いることで、真空中であれば星と星のあいだを光の四百倍というほとんど瞬間移動に近い速度で移動することが出来るらしいのだ。」

摩耶「下半身に「フーン」っていう器官があるらしいよ」

悠「ふーん」

摩耶「うえーい」

悠「うえーい」

亘理『何それ楽しそう、混ぜて混ぜて!』

千世子「召喚者が望んだならば、バイアクヘーはそのものの精神を肉体から離脱させて、ハスターの勢力圏にあるとある惑星へと連れていってくれるのだ。そこはおうし座の散開星団プレアデスの恒星のひとつセラエノをめぐる第四惑星で、旧支配者が仇敵である旧神から盗み出した知識の全てが収められた、巨大な石造りの図書館があるのだ。人間がこの星を訪れている間、地球に残された肉体はアラビアの砂漠にある無名都市と呼ばれる地下遺溝の奥深くに保存されているのだ。以上、バイアクヘーのじゅぎょーだったのだ。」
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