ー奇談ー學校へ行こう5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「なぁ、たいていの厄介な問題を金で解決できるけどそこそこ名前の通ったまともで安全な学校知らないか?」

神姫「……前半の部分が無ければすぐに見つかると思うわよ」

摩耶「大江戸学園は?」

悠「あそこはダメ」

神姫「だいたい何学校よ?高校?大学?」

悠「ちゅー……学かな。」


千世子「はーい、じゅぎょーしますのだ。不可解な事に、カダスに住まう神々はナイアーラトテップの後景をを受けているのだ。「ネクロノミコン」にも「神々は何物にも妨げられずにタガスを支配しているのではない。ナイアーラトテップは夢の中でカダスにあらわれて、神々を支配する。ナイアーラトテップの同意なくして、人間の神は一柱とていかなる行動も取れず、ナイアーラトテップの意思を拒む神は完全に滅ぼされる」という一節があるように、その実態は幽閉に近いものなのだ。」

神姫「なにその言い方……でも、中学なら……やめた」

悠「なんで?」

神姫「いいから、なんでもない。忘れて。」

悠「いや、そんな頑なに否定されたら逆に超気になるというか……」

神姫「何でも無いっていってる……でしょ?」

悠「はい、なんでもありません。」

亘理『調教済み?』

要「ビビりともいう」

千世子「ナイアーラトテップが地球の神々に危害を与えず、飼い殺し同然であってもその後見役をもって任じている理由こそは、クトゥルー神話の最大にして最大の謎ともいうべき、旧支配者たちが宇宙的規模から見ればとるにたりない地球という惑星に数十億年もの長きにわたって執着してきた真の理由へと繋がる鍵なのではないだろうかなのだ。」

摩耶「もしかして、ゆうなちゃん達のこと?」

悠「もしかしなくても、ゆうな達のことだ」

亘理『なになに、ガッコ探してるならここでいいぢゃん』

悠「却下」

千世子「旧神の最高神ともいわれることもあるが、その出自を辿るとむしろ地球本来の神々の一柱なのではないかと思われるノーデンスには、ネプトゥーヌス、トリトーン、ネーレイスといった神々が従神として仕えているのだ。これらの神々は、ギリシア人やローマ人から崇拝された海神たちなのだ。」

キキ「南米にそういう無茶の利く収容所があったような……」

悠「遠いし、うちの娘は犯罪者や少年兵じゃねーよ!!」

摩耶「大学だったら僕がいってるところがゴリ押せるけどね」

悠「ゴリ押して入ったもんな……」

千世子「このことから、地球本来の神々の全てがナイアーラトテップの保護下にあるのではなく、中には旧支配者たちと対立することも辞さない神々もわずかではあるが存在しているのではないかと考えられるのだ。」

神姫「そもそも別に無茶が利かなくとも入れる程度の学力はあるでしょ」

悠「いや、ゆうなはまぁいいがゆえは能力面はカンストレベルでも中身はまだ子供だろ?だから二人は一緒にしておきたい」

摩耶「けっこう無茶だよね」

千世子「「ネクロノミコン」の末尾には、かつてローマ人の英雄マルクス・アントニウスが軍勢いを率いてアルプスの山中を進軍していたとき、ヨグ=ソトースの生みの親であり、かつてはアザトースにも勝る力を持っていたという「大いなる彼のもの」と呼ばれる神に遭遇したという驚くべき物語が乗せられているのだ。」

悠「無理をけっ飛ばして道理をぶっ飛ばす」

摩耶「天元突破でもするの?」

悠「ギガドリルブレイクッ!!」

亘理『でも、いま別に行ってないならいくない?』

悠「おれは良いんだけどな。他人さんがチクチク突いてくるんだよ」

千世子「アントニウスに挑みかかられた「大いなる彼のもの」の呼集に応じて、クトゥルーやハスターをはじめ名だたる旧支配者が飛来したのが、アントニウスの祈りに応えてユーピテル、ギリシア神話のゼウスが現れ、雷光を鞭のように繰り出して彼らを撃退し、「大いなる彼のもの」はついに生き身の人間に撃ちとられてしまったのだ。」

神姫「そもそも、その話しは娘にしてあるの?」

悠「いや、決まってもないのにほいほい言わないよ。あいつ等は事を大きくする悪い癖があるし」

摩耶「悪乗りするのは親譲り」

悠「おれは悪乗りなんてしないっての」

千世子「この最終章を執筆していた頃、アブドゥル・アルハザードは発狂してしまったとも言われているのだ。その逆に、アルハザードは最期を迎えるそのときまで正気を保っていたという信頼に足る節もあるので、事の真意については各々の判断にゆだねるのだ。なお、忘却の川の近くにある洞窟に住まうという睡眠を司るギリシア神話の神、ヒプノスもまた地球本来の神々に数えられることもあるが、むしろ人間に害を与える存在であるのみならず、その本当の住まう場所もかんむり座にあるというから、おそらくは全く異なる存在なのだ。以上、大いなるもののじゅぎょーだったのだ。」
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