ー奇談ー學校へ行こう5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

摩耶「おぉー、ちゃんと直ってるね。さすが妖怪校舎」

悠「おれが直したんだけどね」

神姫「踏んでも壊れない。やるわね妖怪校舎」

悠「頑丈にしたからな、おれが。」

亘理『んしょっと……下の階の天井もバッチリだった家鳴りにご褒美あげないと』

悠「おーれーがぁーなーおーしーたぁーんーでーすぅーけぇーどぉーねっーーー!」

神姫「うるさい、また下まで行く?」

悠「いえ、すいません」

【クァチル・ウタウス】
別表記:なし
登場作品:クラーク・アシュミトン・スミス「THEtreadarortheDust」

千世子「あんちんが怒られたところでじゅぎょーするのだ。クァチル・ウタウスは時空を外れた辺獄のような領域に住むとされるヒューマノイドタイプの旧支配者なのだ。この神を崇拝する教団は確認されていないが、時間を超越し、不老不死を与える能力を持つと考えられていたことから永遠の真理を求める魔術師の関心を集め、祈願や召喚の儀式がたびたびおこなわれて来たのだ。」

悠「しくしく……」

摩耶「確かにきちんと直してるけど木と木どうしを一つにしたのは校舎の再生能力でしょ?」

悠「そりゃ……そうだ。」

キキ「しっかし、誠珍妙奇天烈摩訶不思議な校舎でござるな」

要「珍妙奇天烈摩訶不思議はお前の喋り方だよ」

キキ「ナウなヤングにバカウケにょりん」

要「ねぇよ!」

千世子「召喚されたクァチル・ウタウスは、空の彼方から召喚者に向けて、灰色に輝く光の柱が橋のように伸びてくる中を、ゆっくりと降下してくるというのだ。」

悠「ナウなヤングにバカウケなう」

摩耶「なうが被ってるよ」

悠「ナウなう」

キキ「NowNow」

悠「ナウマン象」

キキ「ナウローディング」

要「なうなううるさいっての」

千世子「その姿は、悠久の時の中で朽ち果てた子供のミイラのような萎びた姿をしていて、頭部には髪の毛も目鼻もなく、全身がひび割れたような網目状の皺におおいつくされているのだ。出現時の姿勢は胎児が手足を引き寄せているような格好で、召喚者の眼前に到達すると、灰色の手足を伸ばして浮かんでいるのだ。」

悠「マスクメロンみたいだな」

摩耶「ぷふっ」

雨「あれ……今の面白かった?」

悠「どういう意味だ。」

摩耶「つ、つぼった……。」

雨「そう……。」

千世子「クァチル・ウタウスは時間の流れを操る神で、周辺の時の流れが異常加速するという現象が引き起こされることから、この神の出現を察知することが出来るのだ。クァチル・ウタウスが前方に指し伸ばした手で触れたものは、瞬く間に老朽化して崩壊してしまうので要注意なのだ。なお「塵を踏むもの」というクァチル・ウタウスのよく知られている称号は、みの神が三次元空間から退去する際、老化して朽ち果てた犠牲者の塵の上に、小さな足跡を残すことに由来するのだ。」

悠「メイド・イン・へヴン!!時は加速する!!」

亘理『ここぞとばかりに』

摩耶「じゃあ生体加速で」

神姫「ヘイスト」

悠「シンプルで分かりやすい…」

千世子「クァチル・ウタウスについて記述がある文献はほとんど存在していないようで、古代キンメリアの預言者カルナマゴスの手になる「カルナマゴスの遺言」という巻物のみが知られているのだ。「カルナマゴスの遺言」は古の魔術師たちの年代記で、地球外からやってきた神々の歴史や召喚方法なのどが記されているのだ。」

亘理『ピリオムは?』

悠「いや、それだったらやっぱヘイストだな。ヘイスガ、プロテス、シェルは必須魔法」

神姫「アルテマとデス」

悠「やぁん、やぁん」

要「死ねばいいのに」

悠「生きる!!」

摩耶「めーがんて、めーがんて」

悠「せめてメガザルでお願いします」

千世子「この巻物は西暦935年、とあるバクトリア人の墓から「エイボンの書」の写本とともに発見され、背教者として知られる修道僧がギリシア語に翻訳したことでその存在が知られるようになったのだ。悪魔の産んだ怪物の血で書かれたというギリシア語版は、鮫皮の表紙に人骨製の留め具がかけられた装丁で、2冊のみが製本されたのだ。このうち1冊は異端審問で破棄されてしまったため、現存するのは一冊のみであるのだ。以上、クァチル・ウタウスのじゅぎょーだったのだ。」
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