ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(12/28/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校の教室のドアが開いた。

千世子「ふんふんふふん♪みんな、こんばんわー」

悠「ちぇき」

摩耶「ちょこちゃんご機嫌だね。」

千世子「えへへ~ドラゴンのじょぎょーもだいぶ進んで嬉しいのだ」

花描「そういや、ドラゴンはあとどのくらいあるんだ?」

千世子「ドラゴンは今日のを含めてあと五体なのだ。その次は飛竜(ワイヴァーン)なのだ」

神姫「そう。じゃあ、今日の授業はじめましょう」

千世子「だなー。今日はこのドラゴンなのだ」

千世子は黒板に文字を書き出していく。

【バジリスク&コカドリーユ】
生息地域:ヨーロッパ各地

出典:ギリシャの博物学書「博物誌」など

摩耶「石にする怪物だっけ?」

悠「どんな相手も一発昇天な」

千世子「地中海周辺の地域で知られている、バジリスクという怪物がいるのだ。この怪物は触れることもなく人間を殺してしまう危険な生き物なのだ。」

花描「幽々子も死を操る程度の能力持ちだぞ」

悠「それはまた別だろ」

千世子「この怪物は時代によってさまざまに姿と特徴を変えるため、時代の流れにそってその特徴を紹介するのだ。まず、バジリスクが最初に文献に現れるのは、今から2000年ほど前にギリシャの学者プリニウスが書いた「博物誌」なのだ。それによれはバジリスクは北アフリカに生息する体長25センチ未満の蛇で、頭に王冠のような白い模様があるのだ。またバジリスクは強力な毒を持ち、呼吸だけで草を枯らし石を砕くのだ。バジリスクを槍で殺した騎兵が、槍を伝ってきた毒素で馬もろとも死んだというからその毒は驚異なのだ。」

摩耶「石にするんじゃなくて超強力な毒なんだね」

悠「稲葉や真桜も毒の吐き方はしゃれにならんけどな」

千世子「この毒の伝説は時代が進むにつれてエスカレートし、バジリスクは視線によって相手を毒殺すると考えられたのだ」

悠「崇の視線は氷殺できそうだけどな。神姫は…」

神姫「あによ…」

悠「なんでもないっす」

花描「対抗策はないのか?」

千世子「バジリスクへの対抗策は、天敵であるイタチの屁や雄鶏の鳴き声を使う方法が有名なのだ。とくに面白いのはガラスや水晶玉を使う方法なのだ。バジリスクを見るときにガラスや水晶玉を通してみれば、視線による毒はガラスの表面で反射し、バジリスク自身を殺してしまうのだ」

花描「メデューサと同じか」

千世子「日本の鎌倉時代にあたる12世紀ごろから、バジリスクの外見は大きく変わり始めたのだ。ひとつは王冠をかぶった八歩足のトカゲという姿で、非常にドラゴン的なねだ。もうひとつは蛇のしっぽを持つ鶏というものなのだ。この姿はバジリスクが鶏を苦手としていることや、別名である「バジリコック」の「cock」が雄鶏を意味することから連想で生まれたと考えられるのだ」

悠「そっからは俺も知ってる。バジリコックの名前は「cock」の部分が強調され、フランスでは「コカドリーユ」に変化。さらにその後、俺らもよくしる「コカトリス」になったらしい」
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