ー奇談ー學校へ行こう5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「夏に鍋はありと思うんだけどどーおもう?」

摩耶「火鍋とかキムチ鍋っていいよね」

神姫「意外と辛党?」

摩耶「中華の本場は四川の辛みにあり」

千世子「火鍋って……なんなのだ?」

摩耶「火で煮た鍋のことだから火鍋っていうらしいよ。事実かどうかは知らないけど」

千世子「へぇーなのだ。じゃ、じゅぎょーしまーすなのだ。」

悠「雑だな」

【ナグとイェブ】
別表記:無し
登場作品:ゼリア・ビショップ「墳丘の怪」

千世子「ナグとイェブは、ある系図によればシュブ=ニグラスを母に、ヨグ=ソトースあるいはハスターを父に持つといわれるのみならず、クトゥルーやツァトゥグァの親でもあるという双子の旧支配者なのだ。」

悠「ハスターは産む側でなく産ます側なんだなやっぱり」

摩耶「悠君なら産ます側にできるよきっと」

悠「よーし、頑張っちゃおうかなッ!」

要「冷静に聞いたらとてつもなく酷い下ネタだな」

千世子「また、ごく少数ではあるが、ナグとイェブはロイガーとツァール、クトゥルーとナイアーラトテップと同一の存在であり、星辰の位置によって異なる顕れ方をしているのに過ぎないと主張する者も存在するのだ。」

悠「下ネタじゃない。保健体育だ」

キキ「はーい、なんで女子と男子が別れて授業するんでーすーかぁー女子は何のビデオをみてるんでーすぅーかぁー」

要「お前も女だろ」

悠「むしろこっちが細かく聞きたいな」

キキ「まず第二次成長期における身体的……」

悠「うん、いいや、そんなリアルな回答は望んでない」

千世子「蒸気のガスと固形物で構成されているナグとイェブの体は、身もだえする腐り果てた塊りと表現されるのだ。沸騰するように泡立つその体表では無数の目と口が開閉して唾液や体液を垂れ流し、蒸気と混ざり合って鉤爪や蹄のついた触肢を作りだしてはまた本体に吸収されるといった具合に、妖怪と形成のサイクルが繰り返されているのだ。」

亘理『今日は姉さん打たないの?』

神姫「普段から私のことをどうみてる……の?」

亘理『あ、つ、ツッコミって意味デスよ』

神姫「……ふぅ、今日はあまり動きたくないのよね。あの日だから…」

千世子「ナグとイェブに捧げられた「黒き連祷」という祈願文によれば、黒と赤と大いなる竜である双子の旧支配者の役割は、ヨグ=ソトースなどの異形の神々の復活に備え、彼らが支配する黒き炎で人類や地球を浄化することなのだとされているのだ。」

要「悠も浄化されればいいんだよ」

悠「おれは無菌室で育った野菜並みにクリーンだ」

摩耶「虫にも病気にも弱いんだね……」

悠「ビバっ雑草魂!」

雨「雑草っていうかベニテングダケでしょ」

千世子「古代ムー大陸において、ナグとイェブはその母親であるシュブ=ニグラスと共に崇拝されていたのだ。クトゥルーの息子とされるガタノトーアに敵対し、この神を封印しようとしていたシュブ=ニグラスの神官トヨグがナグとイェブの加護を祈願したというから、シュブ=ニグラスの従神のような位置づけだったのかもしれないのだ。」

悠「どの部分がか詳しく教えてもらおうか?あぁ?」

雨「最低なセクハラすんなっ!」

摩耶「悠君のはどっちかっていうとキノコより、ド○えもんの手みたいだよ?」

要「いらない情報の上、怒られるぞ」

千世子「ムー大陸が滅亡した後も彼らの崇拝者は絶えることはなく、アラビアの円柱都市アイレムや、アメリカ中西部の地底世界クンヤンに、ナグとイェブの神殿が存在したのだ。クンヤンでは、生贄として捧げられた男女と彼ら二柱の旧支配者の冒涜的な交わりから、おそろしい落とし子を産ませるという血なまぐさい狂乱の儀式が行われたことが知られているのだ。」

悠「乱交、乱交!」

要「なんで、今日はこんな下ネタに超反応してるんだ?」

摩耶「あいだ、あいだでちゃんとツッコミいれないからつもり積ってるんだよ」

雨「ツッコミいれてるでしょ?!」

神姫「痛みを与えろってこと……でしよっ!」

パンッ……ドゴッッッッッン!!!!バギギ、グヲッシャーン!!

亘理『うーわ……床貫通して一階まで落ちてった…』

千世子「はいはーい、暴れないでくださいなのだ」

キキ「余裕すぎワロタ」

千世子「生贄に捧げられた男は、彼らに精をはなって孕ませた後、栄養分として貪り喰われてしまう。また、女は彼らに身ごもらされたあと、恐ろしい怪物を産み落とした衝撃で死亡するのだ。ナグとイェブは性別を超えた神なのだ。以上、ナグとイェブのじゅぎょーだったのだ。」
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