ー奇談ー學校へ行こう5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「はい、これ。」

メフィスト「おおぅ。どーもデース。」

悠「いやいや、こちらこそ毎度あり」

千世子「何してたのだ?」

悠「メフィのおっさんがウチの店の芋羊羹を喰いたいって頼んできたから作ったのを持ってきたんだよ」

千世子「千世子も食べたいのだ!!」

悠「五百円」

千世子「お金取るのだ?!」

悠「ウチの店のっていっただろ。商品だ。ちなみにメフィのおっさんには七百円で売った」

千世子「微妙に詐欺ってるのだ……。」

悠「気のせいさ。おやつに芋羊羹が喰いたくなったら前日にいっといてくれ」

千世子「むーとりあえず、じゅぎょーするのだ。トゥチョ=トゥチョ人に幽閉されていた中国人フォ=ラン博士によれば、この「星の島」は、太古の時代にオリオン座のリゲルやベテルギウスからやってきた旧神たち、旧支配者たちを打ち倒し、宇宙各地の様々な場所に彼らを封印したと言われている謎めいた神の地球での滞在地であったということなのだ。」

神姫「コスプレしたらいくらでも買ってもらえるかもね。もしくは誰かに上目づかいでおねだりするとか」

悠「妙なことを覚えさせるなよ」

摩耶「ある意味、王道だね。」

悠「悪女のか?」

千世子「博士によればロイガーとツァールは単にこの地に住んでいるのではなく、幽閉されているのだったのだ。ロイガーの姿は、無数の触腕をそなえた暗緑色の巨大な肉塊なのだ。ロイガーの兄であり、より強い力を持つというツァールもまた同様の姿をしているらしいのだ。」

神姫「なにかを手に入れる手段としては最適かもね」

亘理『姉御もするの?』

神姫「私はそういうやり方は合わないわね」

悠「どういうやり方をとる気だよ……」

神姫「聞きたい?」

悠「ぐぅ~……」

摩耶「いまどき寝たフリて……」

千世子「「ネクロノミコン」「ナコト写本」などの書物によれば、ロイガーとツァールはハスターと同じく風の力を持つ旧支配者だが、クトゥルーと敵対しているというハスターとは違い「深きもの」と協力することもあるようなのだ。」

神姫「悠こそ物欲の化身でしょどうなのよ」

悠「おれが誰におねだりしたら奢ってもらえるんだよ」

摩耶「柏さん」

悠「なにそれ新手の喧嘩のふっかけ方?」

神姫「父親はどうなのよ?」

悠「無理。なんかもう無理」

千世子「幽囚の身とはいえ、彼らは精神の自由まで奪われてる訳ではないらしく、テレパシーを用いてトゥチョ=トゥチョ人に指令を与え、自らを解放させる準備を着々と進めていたのだ。禁断の秘儀に通暁したフォ=ラン博士は、この遠大な計画の総仕上げのためにエ=オポの命により北京にある自宅から誘拐され、強制的に協力させられていたのだ。」

悠「あ、おねだりは無くても取引は出来るかも」

亘理『取引?』

悠「メフィのおっさんに亘理の下着渡したらなんでも願い叶えてえぇぇぇぇぐぇぇぇっ……」

亘理『……』
ぎりぎり……

神姫「逆さで吊り上げる技ってある意味最強よね」

摩耶「首吊りだしね」

千世子「はーい、そこ。首つりしないのだ。……フォ=ランハ博士は、エ=オポに協力する風を装いながら、ひそかにオリオン座の旧神たちにメッセージを送ることに成功したのだ。やがて、炎をまとった戦士たちがアラオザルへと君臨し、アラオザルごとロイガーとツァールを焼き払い、その復活を阻止したのだ。」

悠「はぁはぁ……。」

亘理『ったく!』

神姫「なんか新しい技とか閃きそうになるわね」

悠「神姫さん、アナタが首に関する技を使いだしたら本気で死にます」

摩耶「僕は首に飛びついてそのまま地面に打ち付けるけどね」

神姫「ギロチンみたいね」

悠「切断でなく粉砕だけどな……あー、聞いただけで首痛い」

千世子「瓦礫の山と化したアラオザルからは、ロイガーの体色と同じ暗緑色の骨を持たない生物の死骸が確認されているのだ。この死骸から発する悪臭は凄まじく、ビルマ国内のみならず中国やインドにまで届いたと言われているのだ。この死骸がロイガーないしはツァールのものなのか、それとも眷属に過ぎないのか。確かなことはなにもわかってないのだ。続きは次回なのだ。」
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