ー奇談ー學校へ行こう5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「あんちんってひとりっ子なのだ?」

悠「一人っ子だな」

摩耶「同じく」

神姫「私は五人……四人姉弟よ」

悠「今意図的にひとり減らしたよな」

神姫「私に兄はいない」

悠「はい、すいません……。」

千世子「よっちゃんはどうなのだ?」

義鷹「……」

悠「義鷹ー、お前のことだぞ」

義鷹「俺か?!よっちゃんて……兄弟なんかいねぇよ。同胞は居たがな」

【ガタノトーア、ゾス=オムモグ、ユトグタ】
別表記:ガタノソア/イソグサ
登場作品:ヘイゼル・ヒールド「永劫より」

千世子「はい、ということでじゅぎょーしますなのだ。失われたムー大陸について記された「ポナペ経典」や「ザンツー石板」によれば、クトゥルーは外宇宙のゾス星系にある緑の二重星において、イダ=ヤーという配偶者とのあいだにガタノトーア、ゾス=オムモグ、ユトグタら兄弟を儲けたというのだ。」

悠「だから、兄弟の話しを振ったのか……」

摩耶「ピヨちゃんはMCやれる子だね」

神姫「いじるよりいじられる側な気がするけど」

亘理『なんのMC?』

悠「んー……五周年記念とか」

摩耶「先なが……。」

千世子「クトゥルーとその眷属は、人類が誕生するはるか以前に、星辰の変化と地殻変動によって海底に沈んだルルイエにおいて永劫の眠りについたとされるが、地上への影響力を失うこと無く、古代ムー大陸の人々が崇拝した神々の中には、クトゥルーとその息子たちが含まれていたのだ。中でもムーで盛んに崇拝された旧支配者がクトゥルーの長子ガタノートであるのだ。」

摩耶「リチャード・ハリスの主演映画」

悠「ジャガーノートだな」

神姫「2.SF作家A・E・ヴァン・ヴォークトによる1944年の短編小説」

悠「ジャガーノート」

亘理『9.ゲームCoD:MW2以降に登場する重装甲歩兵』

悠「ジャガーノート!っか、ガタノトーアと全然似てないし」

千世子「ガタノートはクトゥルーと共に飛来したとも、ユゴス人がムー大陸のヤディス=ゴー山に連れてきたとも言われているのだ。半ば無定形の巨大な身体に触腕を生やした姿で、そのおぞましい姿を見た人間は、脳を生かされたままで全身が石化してしまうというのだ。やがてムー大陸が海中に沈むと、ガタノトーアもまた深い眠りにつくことになったのだ。」

悠「っか、ジャガーノートだったら王様だろ」

摩耶「崇さん?」

悠「そっちのキングじゃない……」

千世子「三兄弟の次兄ゾス=オムモグは円錐形の身体を持ち、頭部には蛇に似た爬虫類のようなひげと、ヒトデのような四本の腕を生やした姿をしているのだ。翡翠製の小立像を介してのみ発揮できるという条件付きではあるが、夢を通して人間に働きかけるという父親と同様の能力を持っているのだ。ゾス=オムモグはクトゥルーの寝どこの近く、太平洋に沈んでいる海底都市ルルイエの一角で眠っているとされているのだ。」

亘理『色々と沈んでるんだね海って』

悠「道頓堀には人形が沈んでるしな」

神姫「海じゃないし回収されたでしょアレって」

摩耶「東京湾にはそれこそコンクリが詰まったドラム缶とか」

悠「怖い怖い」

千世子「三男にあたるユトグタは、頭部にあるひとつ目の周囲を触手に囲まれ、手足には深きものどもを思わせる先端に吸盤のついた水かきを備えていて、自らを象った彫像の所有者の夢に現れて狂気をもたらすというのだ。ユトグタは、旧神の力によってルルイエの南方に沈むイエーの深淵に封じられているのだ。」

亘理『もしかして沈んでるってそういう理由で?』

悠「大陸とコンクリ詰めのドラム缶と一緒にするなよ」

摩耶「あれって本当に沈んでるのかな」

悠「うーん……ゼロではないと思う」

千世子「なお、ガタノトーアとユトグタの崇拝者は対立しており、ムー大陸の沈没はガタノトーア信仰の隆盛とともに衰退したユトグタ信仰の勢力を復活させようとしていた大神官ザンツーの計画が原因とも言われているのだ。ゾス=オムモグとユトグタには、地殻の底に穴を掘る白く、宇宙からやってきた巨大な蟲ユグが仕えていて、主人を復活させる準備を進めているのだ。以上、ガタノトーア、ゾス=オムモグ、ユトグタのじゅぎょーだったのだ。」
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