ー奇談ー學校へ行こう5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「ここ数日いいお天気が続いてるのだ」

悠「五月晴れって言うくらいだしな」

神姫「光合成が出来て嬉しいでしょ」

悠「いや、おれ植物じゃないですから葉緑体持ってないから」

【グラーキ】
別表記:なし
登場作品:ラムジーキャンベル「ThelnhaditantofTHELake」

千世子「それじゃじゅぎょーしますなのだ。イギリス南東部のグロウスターシャーにある、セヴァン川の流れる渓谷には流星の衝突でできた湖があり、旧支配者グラーキが古くから住みついていたのだ。」

摩耶「不凍液とかはながれてるよね?」

悠「不凍液流れてたら寒さに強いだろ」

摩耶「あっ、そっか。じゃあ……アルコール?」

悠「常に酔いどれかよ」

神姫「言ってることは酔っ払いのたわ言程度だけどね」

千世子「楕円形の身体に、丸い口と先端に黄色い目をつけた3本の茎状の突起物からなる顔を持っているグラーキは、グロテスクなナメクジのような姿をした旧支配者なのだ。ずんぐりした体の下部には四角錐状態の足のような突起が無数に生えていて、金属製の細長い棘が全体を覆うように無数に突き出ているのだ。」

悠「……今、チャガブルが思い浮かんだひと挙手」

摩耶「はーい」

亘理『はーい』

神姫「……はい」

悠「そうだよな。楕円形で水生で棘って」

千世子「「ネクロノミコン」や「グラーキの黙示録」によれば、名前の無い世界に住んでいたグラーキは彗星に乗って惑星トンド、シャッガイ、ユゴスと移動して来た後、とある小惑星の都市の地下に閉じ込められてしまうのだ。この小惑星が落下した際に解放されたグラーキは、セヴァン渓谷の湖を自らの住処に定めたのだったのだ。」

悠「おれはもう水中戦は遠慮したいけどな」

摩耶「しょーじきめんどいよね」

亘理『じゃあ……空中戦?』

悠「背中にジェットパックでもつけて戦うのか?」

摩耶「モンハン無双が良いな」

悠「あ、それがいい」

千世子「グラーキは湖の周辺に住む人間の心に夢を送りこみ、催眠術のように操る「夢引き」という能力を持っているのだ。この力で招き寄せられた人間はグラーキの棘に刺殺された後、棘から注入された液体でグラーキの意のままになる動く死体としてよ蘇り「グラーキの従者」と呼ばれる忠実な崇拝者となるのだ。」

悠「麻痺じゃなく、ゾンビ精製毒か」

神姫「安定して便利な毒ではあるわね」

摩耶「殺したあと注入っていうのは毒っていうか操作剤?」

悠「腐食防止剤かもな」

千世子「夢の国へも支配力を及ぼしたというグラーキだが、現在は昔ほどの力が無くなっているようで「夢引き」もごく近い場所にいる人間にしか影響を与えることが出来ないのだ。このため湖の周辺で失踪事件が連続したため、地元警察によって湖水が汲み上げられたことがあるのだ。しかし、干上がった湖底にグラーキの姿はなく、流星とともに落ちてきたはずの都市も見つからなかったというのだ。」

亘理『本当に汲みあげたんだ……』

悠「日本でもツチノコにまじ懸賞金かけてるくだいだ。無い話しじゃない」

摩耶「そのうち河童探しに池の水を汲みあげたりするかもね」

悠「調べたら場所によったら現れるかもな……ここだけでも蔓延りまくってるし」

千世子「グラーキ崇拝者の教団内で19世紀の頭に書かれたという「グラーキの黙示録」には、グラーキをはじめ多くの旧支配者について記述されているのだ。この文献によれば、エジプトの大神官が「タグ・クラトゥアの逆角度」という呪文を用いてグラーキのいる小惑星を地球に招き寄せたという記述があるのだ。」

亘理『河童ってユーマ?妖怪?』

悠「それをおれに聞くなよ」

摩耶「言われてみれば違いってなんだろうね」

神姫「いるかもしれない未確認の生き物はユーマ、創作な怪物は妖怪じゃない?」

摩耶「なるほど」

亘理『なんか複雑な気分』

千世子「なおエジプトのとある墓所からグラーキの棘によく似たものが刺さったミイラが発見されているので、地球に到来する以前からグラーキの支配が地球に及んでいたものと考えられるのだ。以上、グラーキのじゅぎょーだったのだ。」
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