ー奇談ー學校へ行こう5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「すげー蒸し蒸ししてんのな」

冥「もう夏着でもいいかもしれないのナ」

悠「管理人ちゃんは着物以外も着るんですかな?」

冥「もちろんですナ」

悠「尻尾触っていいですかな?」

冥「ダメですナ♪」

悠「チッ」

摩耶「絶妙な攻防だね」

亘理『なんの?』

千世子「はーい、暑いけどすき間風が入るからそれで耐えてじゅぎょーするのだ」

【シャッドメル】
別表記:ジュド=メル
登場作品:ブライアン・ラムレイ「地を穿つ魔」

神姫「すき間風って冬は寒いけど夏はただの蚊の通り道よね」

摩耶「都会の蚊は超強蚊だし手ごわいよね」

雨「食べる部分すくないし」

悠「それは違うだろ」

千世子「エチオピアの砂漠のどこかに入口が隠された古代都市ガールンの地下深く、頭も目もない巨大なイカのような姿をしたクトーニアンと呼ばれる卵生のクリーチャーが旧神によって封じられているのだ。「地を穿つ魔」と呼ばれるクトーニアンは、高温の熔解液を吐いて強固な岩盤を溶解させ、土砂を喰らいながらトンネルを掘り進む地底生物で、複数の個体が集まると地上に大地震を引き起こすこともできるのだ。」

悠「ちなみにすき間風に関してなにかご意見は?」

冥「古い校舎だからご愛嬌ナ」

神姫「そこら辺までは直らないの?」

冥「一度直せばそういう次からその状態まで再生はするのナ。けど、やっぱり生き物と同じで栄養というかエネルギーがないと直らないのナ」

千世子「非常に高い知性を持つクトーニアンは強力なテレパシー能力を持っていて、群れ全体が常に精神感応状態にあるのみならず、専門の訓練を積んでいない人間の精神に侵入して思い通りに操ることが出来るのだ。」

神姫「悠とかどう?」

悠「あれ、なんか人柱にされてない?」

冥「いいんじゃニャいかナ」

悠「良くないよ?!」

神姫「腕の一本くらい気にならないでしょ」

悠「義鷹じゃないんだから失ったら生えねぇよ!!」

千世子「この能力によって、クトーニアンは旧支配者の秘密を探る人間をほお無理去ってきたのだ。また20世紀以降、クトーニアンがアフリカ大陸だけでなく、ヨーロッパやアメリカにも出没するようになったのは、こうした傀儡に卵を運ばせたのだろうと考えられているのだ。」

摩耶「義鷹くんとかのじゃダメなの?」

冥「義鷹だと逆に吸収しちゃうのナ」

神姫「じゃあ、やっぱり悠ね」

悠「直しくらいはするから人柱は勘弁」

神姫「……まぁいいけど」

千世子「クトーニアンたちに君臨する、体長1マイルにもおよぶ最古の個体がシャッド=メルで、「深きもの」を支配するダゴン動揺、旧支配者の一柱に数えられているのだ。しかしながら、大人数のクトーニアンは超能力を持った生物でしかなく、高熱には強いものの放射能に弱く、水に触れると溶解してしまうという脆弱な面をもっており、彼らの卵は有害な放射能を遮るため四インチもの厚い殻につつまれているのだ。」

悠「ふぅ、冷や汗が出た」

亘理『よく生きてるよね悠ちゃんて』

悠「死んだら地獄いき確定だから必死にもがいて生きてんだよ」

冥「地獄もいいところだって忌野さんがいってたのナ」

悠「あー……やっぱあのひと地獄経験者なんだ」

千世子「孵化と成長に時間がかかるのも、種としてのクトーニアンの弱点なのだ。クトーニアンは子供に対する強い保護性を持っていて、卵や幼虫に危機が迫ると興奮状態になって集まってくるのだ。ミスカトニック大学のアルバート・N・ウィルマース教授を発起人として設立されたウィルマース財団は、この本能を逆手にとってクトーニアンをおびき寄せ、地下核実験を偽装した徹底的な核攻撃を行ったのだ。」

摩耶「っていうか実際地獄行かない人間なんていないと思うんだけどね」

悠「何処までが罪と罰の境界不明だしな」

神姫「死んだあとのことなんか考えて生きてけないでしょ」

悠「そりゃそうだな」

千世子「この戦いでクトーニアンは大きく数を減らし、シャッド=メルも深手を負って地底深くに逃亡したのだ。なおクトーニアンとは本来、このシャッド=メルが属する種族の固有名ではなく「地下に棲むもの」を意味するギリシャ語の「Chthonian」に「クトゥルーの眷属」の意味を持たせた造語であるようなのだ。以上シャッド=メルのじゅぎょーだったのだ。」
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