ー奇談ー學校へ行こう5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「あー、あっぁぁ……あー……。んあぁぁ……」

摩耶「肩っていうか背骨が凝ってるの?」

悠「みたいだなねじるときもちいい……」

神姫「手伝ってあげようか?」

悠「ねじ切られそうだから嫌」

千世子「はいはい、今日はツァトゥグァのじゅぎょーなのだ」

【ツァトゥグァ】
別表記:ツァトゥグァ/ゾタクア
登場作品:クラーク・アシュトス・スミス「魔道士エイボン」

亘理『背骨ってこるもんなの?』

悠「そんな感じがするんだよ。お前こそ逆さにぶら下がってて変なこり方とかしないのか?」

亘理『全然』

千世子「氷河期が到来する以前、ヨーロッパ亜大陸の北方(グリーンランドのあたり)にはハイパーボリアという大陸があったのだ。この土地で崇拝されたツァトゥグァは、地球が誕生して間もないころに太陽系の六番目の惑星ハイパーボリアのムー・トゥーラン半島ではサイクラノーシュと呼ばれていた土地から飛来した旧支配者なのだ」

神姫「むしろ、頭に血がのぼらないかどうかじゃない?」

悠「あぁ、それもそうだな」

亘理『それもないけど』

悠「すげぇな」

摩耶「特性じゃない?」

千世子「コウモリに似た耳があり、丸い目をいつも眠たげに半開きにしたツァトゥグァの頭部は蟇蛙に似た印象を与えるので「蟇蛙の神」と呼ばれているのだ。」

悠「なるほど、おれが服を脱ぐたびに強くなるみたいなもんか」

亘理『そんな特性あるの?!』

悠「大概の奴はそうだろ」

神姫「それって私も含まれてるの?」

悠「違うのか?」

神姫「……動きやすいっていう点ではその通りかしら」

悠「だろ」

千世子「全身が柔らかい毛におおわれていて、太鼓腹を突き出してどっしりと腰をおろす様子はナマケモノに例えられることもあるのだ。その肉体はクトゥルーなどと同じく原形質状の無定形の塊りで、その気になれば身体を自由に変化させることが出来るのだ。」

摩耶「服脱がれたら襟締めできないもんね」

神姫「そしたら裸締めでいいのよ」

悠「絞め技に拘ってないんだが……」

雨「糸を使えばもっと簡単よ?」

亘理『首を掴んで引っ張り上げる』

悠「最後の二人は完全に本人特性だろ」

千世子「また、ツァトゥグァには無形の落とし子と呼ばれる、黒いタールの塊りのような奉仕生物が仕えていて、無気力な主の代わりに生贄を狩るなどのさまざまな用をこなしているようなのだ。」

摩耶「打撃も布を間したほうが威力上がるしね」

悠「摩耶は関係なくブッ込んでくるだろ」

摩耶「それが武器だもん」

千世子「出典の定かではない系図によれば、ツァトゥグァの父親はアザトースから分裂した両性具有神クグサクスクルスの息子であるギズグスで、暗黒星ゾス(クトゥルーが支配していたゾス星系とは別?)出身のズストゥルゼームグニが母親なのだ。なお、ギズグスはかつてトゥルーという名で呼ばれていたクトゥルーの兄弟なので、この系図が正しいのであればツァトゥグァはクトゥルーの甥ということになるのだ。」

神姫「投げがいいわよ。叩きつけるもよし、落とすもよし」

悠「投げるんじゃなく、落とすだな」

神姫「落としてほしいの?」

悠「すぐにおれに試そうとするのやめてよ!!」

千世子「ツァトゥグァは、一族を伴ったクグサクスクルスが「ネクロノミコン」などの文献中でユゴスと呼ばれる冥王星に移住してきた時に初めて太陽系にやってきたのだ。後に海王星に移り住んだツァトゥグァは親族であるシャタクとの間にズヴィルポググーアという子供をもうけ、しかる後に土星へと移り住んだとされているのだ。続きはじかいなのだ。」
42/100ページ
スキ