ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(12/22/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も授業がはじまろうとしていた。

花描「摩耶くんて何処に住んでるんだ?」

摩耶「秋葉原だよ。駅の近くの木造アパート。幽霊とか出そうなふる~いところ」

花描「マジか。」

摩耶「うん。けど、色んな人のお家に泊まらせてもらってるよ」

花描「ピエロくんか?」

摩耶「あと金剛くんに、氷室さんとことか」

花描「摩耶くんの家族は?」

摩耶「僕の家族は悠くんだよ。えへへ~」

千世子「まーやは悠のあんちんと家族なのか」

摩耶「うん、そだよ」

千世子「あんちんと家族いいなぁー」

花描「じゃあ千世子ちゃんは俺の事をお兄さんと思っていいぞ」

千世子「かびょーをおにいちゃん?」

花描「今の中で「を」退けてみようか」

千世子「かびょーおにいちゃん?」

花描「ふ、ふふ…」

摩耶「わぁ~顔が危な~い」

その時、教室のドアが開いた。
悠と神姫が入ってくる。

悠「ありゃ、ビリか」

神姫「……」

千世子「あんちんもねーちんも来たな。じゃあ、じゅぎょーをはじめるのだ。」

千世子の号令に皆席に座るちなみに、並びは千世子を前に右から神姫、悠、花描、摩耶の順番だ。
もちろん決まりではない。日替わりで適当に座わっている。

悠「えと、赤い竜と白い竜だったよな」

千世子「そうなのだ。赤い竜と白い竜が有名になったのは、このドラゴンが世界でもっとも有名な英雄物語「アーサー王伝説」に取り上げられた影響が大きいのだ。」

悠「……あぁ、思い出した。あれだよな12世紀イギリスの聖職者ジェフリーオブモンマスが実際の歴史を下地にして創作したイギリスの偽歴史書「ブリタニア列王史」が、アーサー王伝説発展の礎になった重要な作品で、この本に赤い竜と白い竜の戦いについて物語がかかれ…」

千世子「ウルウル…」

千世子は涙目になった。
悠は心に罪悪感が突き刺さった。
悠は口を閉ざした。

摩耶「はい、チョコせんせー続けてください。」

千世子「うん……物語を少し話すと……侵略者サクソン人の王であるヴォーディガン王が城を建築していたとき、昼間に作った部分が夜には崩れ落ちるという事件が相次いだのだ。王は部下たちの進言にしたがって、生け贄にする少年を連れてこさせたのだ。」

悠「この少年、じつはのちに大魔術師としてアーサー王の相談役として活躍することになる「マーリン」なんだぜ」

神姫「また、泣かれるから黙ってなさいよ」

悠「はい…」

花描「ドンマイ」

千世子「マーリンは王に対して、城が完成しないのは、土台の下に大きな石の箱があるせいだと説明したのだ。王が地面を掘らせてみるとマーリンがいうとおりに大きな箱が見つかったのだ。」

花描「中身は竜か。」

千世子「正解なのだ。その中には二匹の竜が眠っていて、すぐに目を覚まして戦い始めたのだ。城の建築がうまくいかなかったのは、夜になると箱の中で壮絶な戦いが始まるため、地面が揺れるのが原因だったのだ。」

摩耶「悠君と柏さんも箱に閉じ込めたらこうなるのかな」

悠「冗談でもやめてくれ…」

千世子「二匹の竜の戦いは最初の頃は白い竜が優勢だったが、やがて赤い竜が盛り返して白い竜を追い詰めたのだ。マーリンはこの戦いを「赤い竜はブリトン人、白い竜はサクソン人。この戦いはコーンウォールの猪が現れて白い竜を踏み潰すまで終わらない」と解説したのだ。やがてイギリスには予言通り「コーンウォールの猪」ことアーサー王があらわれ、イギリスをブリトン人の手に取り戻したのだ。じゃあ今日はここまで~」

悠「きりーつ、礼」

花描「お疲れした」

摩耶「お疲れさま」

神姫「……お疲れ」
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