ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(12/20/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
新たに生徒が増えて今日も千世子の号令がかかり授業がはじまった。

千世子「今日はこれなのだ」

【赤い竜と白い竜】
生息地域:イギリス
出典:イギリスの偽歴史書『ブリタニア列王史』など

花描「レッド&ホワイトドラゴンだな。」

摩耶「攻撃力2400と3000ぽいね」

千世子「イギリスでもっとも有名なドラゴンは…はい、神姫ねーちん」

神姫「聖ジョージのドラゴン、つまり聖ゲオルギウスのドラゴンよね。」

千世子「正解なのだ。けど対象をイギリスの一部の地域に絞れば話しは変わってくるのだ。イギリスを構成する4つの国のひとつ「ウェールズ」では、民族の運命を背負って戦い続ける、赤と白の二匹のドラゴンが広くしられているのだ」

悠「関係ないけどイギリスは4つの小さな国が合体してできた国だろ?首都ロンドンのあるイングランド、北の高地にあるスコットランド、西のウェールズ、海の向こうにある北アイルランドの4つ。覚えておくと役に立つぞ」

花描「これは普通に勉強になるんじゃないか?」

千世子「せんせぇは!千世子なの!」

花描「ごめん、ごめん、続けて」

千世子「こほん、二匹の竜のうち、赤い竜の名前は正式には「ア・ドライグ・ゴッホ」、白い竜は「グウィバー」というのだ。この二匹の竜にはほとんど外見的記述はないのだ。けどわずかに白い竜は「翼のはえた蛇」だという伝承があるのだ。」

摩耶「それ以外は?」

千世子「絵画とかだと、トカゲの体に四本の足と翼を持つ、典型的な姿で描かれていることが多いのだ。」

悠「ブルーアイズとレッドアイズ並べたらオッケじゃね?」

千世子「この二体のドラゴンについて理解するためには、1000年以上前のイギリスの歴史をひもとくひつようがあるのだ。悠のあんちん。イギリスはどうだったのだ?」

悠「かつてイギリスの南部は、当時のヨーロッパ最強国「ローマ帝国」が、現地人であるブリトン人と協力して統治していた。けど、日本で言えば古墳時代にあたる四世紀初頭、ローマ帝国がイギリスから撤退し、弱体化したイギリスに「アングロ人」や「サクソン人」っていう異民族が流入。ブリトン人とのあいだでイギリスの覇権を争う戦いが始まったのだ。」

千世子「大正解!赤い竜と白い竜は、この相争う民族と関係ふかいドラゴンなのだ。赤い竜こと「アドライグ・ゴッホ」は原住民ブリトン人の守護竜、白い竜こと「グウィバー」は侵略者アングロ人とサクソン人の守護竜なのだ。さて、今日はここまで、続きは次回なのだ。」

花描「おつかれっした」

摩耶「お疲れさま~」

悠「さぁて…帰るかな」
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