ー奇談ー學校へ行こう5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「そろそろちゃんとじゅぎょーしようなのだ。」

悠「じゅ……ぎょう?」

千世子「なんで、今初めて聞いたみたいな反応なのだ!!」

後楽「じゃあ、おいちゃんがお馬さんとかの授業してやるよ」

悠「テメーはハロワいって社会勉強してこい」

後楽「ふぅー……おじさん、嫌というほど社会勉強はしてきたからいいよ」

神姫「ロクでもない社会でしょうねきっと」

摩耶「離婚とか借金とか……」

悠「警察に捕まらないようにだけはしてくれよ。ウチに迷惑掛かるから」

千世子「千世子のお父さん、警察なのだ」

悠「マジか?!」

千世子「マジなのだ。」

悠「怖いわぁ…」

亘理『悠ちゃんのが怯えてどうすんの……。』

千世子「ということでアミダクジを作ったので選んでくださいなのだ。」

雨「あの子、話しの進め方上手くなったわね。」

神姫「スルースキル身につけて無いとこんな連中と付き合ってられないでしょう」

千世子「誰か選びたい人~」

揺光【妾】

悠「まさかの人物が挙手った?!」

揺光【狐狗狸さんなら妾無しでは始まらんじゃろ】

悠「コックリさんしてねぇし!!」

揺光【冗談じゃ。ここで善いか?】

千世子「いいのだっ。ルンルンルン……でましたなのだ。「クトゥルー神話」」

揺光【なんじゃ?】

神姫「クトゥルー神話。二十世紀前半に活躍したハワード・フィリップス・ラヴクラフトを中心とする怪奇作家達が、オリジナルの神々や魔術書なんかの名前を共有するっていうお遊びのなかで結果的に生まれた創作神話よ。」

悠「なんだ、詳しいな」

神姫「一度くらいは読んだこと事あるでしょ」

亘理『ある?』

摩耶「這い寄れニャる子さんなら」

後楽「ぐおぉ……Zzz」

雨「邪神とかっていうのは知ってる」

悠「ちなみにおれは読んでる」

千世子「ということで次回からはクトゥルー神話のじゅぎよーするのだ。」

悠「武器とかしてきたけどここ一番で濃い授業やるんだな」

摩耶「アレって元はなんか細かいルールのゲーム何だよね」

悠「いや、ぶっちゃけると細かいルールは無いんだよ。「公式設定」が存在するシェアワールドに見られるような世界観をサーバークライアント型とすると、クトゥルー神話のそれはピア・ツー・ピア型だ。」

亘理『ごめん既になんか分かんない』

悠「そうだな。例えばおれ、摩耶、神姫、千世子がそれぞれ同一の設定を共有していたとしても、必ずしもおれと千世子の作品が同一の時間軸に存在する訳じゃないんだ。矛盾に満ちたイイカゲンサが許容される、敷居の低い娯楽だ。」

亘理『ぷすん……』

摩耶「亘理ちゃんの許容は超えちゃったみたい」

悠「……まぁ、ゲームする訳じゃないし適当に今まで通りに授業受けたらいいと思うぞ」
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