ー奇談ー學校へ行こう5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「昨日は全然おしゃべりできなかったのだ。」

悠「ムクれんなよ。ケラケラ笑ってたじゃん」

千世子「笑ってたけどケラケラ笑ってたのは冥ちゃんで、千世子はもっと淑女的に笑ってたのだ」

悠「むしろ、その笑い方のが気になるわ…」

神姫「見てみたいから、背中叩かせて」

悠「そんな身体を張った笑いを取るのはまだ嫌だ」

摩耶「アハ、今さらじゃない」

悠「えぇ……。」

千世子「いいもんなのだ。リアクション芸人のあんちんは置いといてじゅぎょーするのだ」

【千鳥】
別名:雷切、分類:刀、属性:‐
系統:史実、所持者:立花道雪

悠「誰がリアクション芸人だ」

雨「お前だ!!」

悠「よくある怪談のオチ風にお前だといわれてしまったよ」

摩耶「まえだ」

悠「誰だ?!」

千世子「戦国時代の九州の武将、立花道雪が持っていた刀なのだ。道雪は非常に武勇に優れた人物であり、つねに「千鳥」と名付けた日本刀を携えていたのだ。「千鳥」の名は、柄の部分に千鳥の浮き彫りがあったからといわれているのだ。福岡県柳川市の御花資料館に現物が所蔵されているが、西暦2006年には、展示されなくなったのだ。」

悠「立花といえばやっぱり誾千代だな」

摩耶「道雪の娘だっけ?」

悠「そうそう男よりも武将としての適性が高かったらしいぞ」
チラ…

神姫「なんか今こっちみた?」

悠「滅相もないです」

千世子「千鳥の銘はつたわっていないが、道雪が活躍した豊後国はもともと多数の刀工がいる土地であったため、道雪と同時代の豊後刀工の作である可能性が高いのだ。豊後刀工の作風は「品位に乏しいが、折れず、曲がらず、よく切れる」というもので、戦国武将好みの実戦的な刀だったのだ。」

悠「そういや……梔姉さんもその手の造りの物が好きだったな。直刀で反りの少ない系」

摩耶「剛剣ってやつだね」

悠「たぶん、あの人、そのうちタルタロスとか装備するから」

亘理『まさかの剛断剣……。』

神姫「太刀でもないのね。」

千世子「この刀は雷切(らいきり)とも呼ばれているのだ。その理由は、ある日、戸外に出ていた道雪の近くの木に落雷があったが、落雷時に千鳥で雷を切って生き延びたという逸話があるためなのだ。ただし、道雪は感電によって正常な歩行が困難になっているのだ。下半身不随になった、としている書物が多いのだ。」

摩耶「雷耐性の高い悠君は素手で雷割れるよね」

悠「摩耶君、雷に耐えられるほどの耐性は無いからね。」

神姫「スタンガンなら大丈夫なの?」

悠「大丈夫ではない、痛い」

神姫「ふーん……。」

悠「その溜めが怖い……。」

千世子「しかし脚が不自由になってからも、道雪は部下に板輿を担がせて合戦の最前線で指揮を執り、戦に勝利し、猛将の名をほしいままにした。こうして数々の敵と渡り合うこと37回、ただの一度も負けることなく、その戦いぶりと名刀雷切りから、人々は道雪を「雷神」と称したのだ。以上、千鳥のじゅぎょーだったのだ。」
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