ー奇談ー學校へ行こう
ー教室(12/19/夜)ー
毎夜行われる、夜の授業。
今日はいつもよりひとり分多くの声が教室から聞こえていた。
悠「花描君…なんで着いてきた」
花描「なんとなく?ピエロ君が毎夜何してるのか気になって」
悠「おいおぃ…」
摩耶「まぁ、いいんじゃない。ちょこちゃん喜ぶよきっと」
悠「かなぁ…けどひとつだけ」
花描「うん?」
悠「ヒソヒソ(あそこに居るの九頭竜神姫っていうんだけどちょっと気難しいから…配慮してくれ)」
花描「おっけ。わかった」
そのとき教室のドアが開いた。
千世子「みんなーいるかー!」
悠「おう、ぴよこ。生徒が増えたぞ」
花描「平瀬花描だ。よろしく」
千世子「かびょーか。よろしくなー。大葉千世子なのだ」
花描「あぁ、よろしくな。千世子ちゃん」
千世子「じゃあ、今日のじゅぎょーはこれ。」
【ヴァヴェルの竜】
生息地域:クラクフ(ポーランド)
出典:ポーランドの民間伝承
摩耶「ドイツの東にある国だね。たしかポーランド南部の街がクラクフだっけ」
千世子「正解なのだ。ヨーロッパ有数の古都として世界遺産にも登録されたこの街には、かつてドラゴンの住む丘があったというのだ。このドラゴンは、ヴァヴェルという丘にある洞窟に住んでいたのだ。ドラゴンの外見については伝承はなにも描写していない。物語の挿絵では洞窟から首と前足を出した姿で描かれ、全身がどうなっているかは判別できないのだ。」
花描「体積的にはでかそうだな。」
神姫「他の伝承にも無いの?」
千世子「描写はないけど、後世ヴァヴェルの丘に立てられたドラゴンの像は、通常の首のほかに胸から小さな六本の首を生やし、二本足でたつという異形じみた姿で作られているのだ。」
悠「ちなみにこの像には、定期的に口から火を吐くという凝った仕掛けがあって、観光客の目を楽しませてる。」
摩耶「へぇ、いってみたいなぁ。」
千世子「クラクフに残る伝承によれば、ヴァヴェルの竜は極めて凶暴で、人や家畜を襲ったり、金品を強奪しとは洞窟にため込んでいたという。民衆は毎日ドラゴンに三頭の子牛か羊を与え、竜が空腹で暴れないようにしていたのだ。」
花描「見た目のわりに少食だな」
悠「いや結構でかいよ。子牛も羊も」
千世子「このようにクラクフを恐怖に陥れていたヴァヴェルの竜だが、多くのドラゴン伝承と同じように、人間に退治されることになるのだ。」
摩耶「そこは王道だね。」
千世子「竜退治といえば、人間離れした強さの英雄が死闘の末にドラゴンを倒すイメージがあるが、この伝承では世界中から集まった強い騎士たちが次々と返り討ちにされてしまうのだ。結局この竜を倒したのは武力ではなく、知恵が強力な竜を倒したのだ。」
悠「俺は知恵派だな。」
花描「ピエロくんは武力だろ」
悠「なんでやねん」
千世子「竜を退治したのは、クラクという見習いの靴職人だったのだ。彼は洞窟の前に、腹のなかに硫黄を詰め込んだ羊をおいておいたのだ。羊を丸のみにしたドラゴンは、硫黄のせいで喉がカラカラに渇き、川の水をガブガフ飲み始める。飲んでも、飲んでも喉の乾きはおさまらず、ついには水の飲みすぎで腹が張り裂け、死んでしまったのだ」
摩耶「腹バーンだね」
悠「引いてだめなら押し入れ続けるだな」
千世子「名だたる騎士にも倒せなかったドラゴンを倒した職人クラクは、国王の娘と結婚したのだ。そして街の名前は彼の名前から「クラクフ」と名付けられたのだ。はい、今日のじゅぎょーはここまでなのだ。」
花描「いやぁ、楽しいなまた来ていいかな?」
千世子「もちろんなのだ!」
毎夜行われる、夜の授業。
今日はいつもよりひとり分多くの声が教室から聞こえていた。
悠「花描君…なんで着いてきた」
花描「なんとなく?ピエロ君が毎夜何してるのか気になって」
悠「おいおぃ…」
摩耶「まぁ、いいんじゃない。ちょこちゃん喜ぶよきっと」
悠「かなぁ…けどひとつだけ」
花描「うん?」
悠「ヒソヒソ(あそこに居るの九頭竜神姫っていうんだけどちょっと気難しいから…配慮してくれ)」
花描「おっけ。わかった」
そのとき教室のドアが開いた。
千世子「みんなーいるかー!」
悠「おう、ぴよこ。生徒が増えたぞ」
花描「平瀬花描だ。よろしく」
千世子「かびょーか。よろしくなー。大葉千世子なのだ」
花描「あぁ、よろしくな。千世子ちゃん」
千世子「じゃあ、今日のじゅぎょーはこれ。」
【ヴァヴェルの竜】
生息地域:クラクフ(ポーランド)
出典:ポーランドの民間伝承
摩耶「ドイツの東にある国だね。たしかポーランド南部の街がクラクフだっけ」
千世子「正解なのだ。ヨーロッパ有数の古都として世界遺産にも登録されたこの街には、かつてドラゴンの住む丘があったというのだ。このドラゴンは、ヴァヴェルという丘にある洞窟に住んでいたのだ。ドラゴンの外見については伝承はなにも描写していない。物語の挿絵では洞窟から首と前足を出した姿で描かれ、全身がどうなっているかは判別できないのだ。」
花描「体積的にはでかそうだな。」
神姫「他の伝承にも無いの?」
千世子「描写はないけど、後世ヴァヴェルの丘に立てられたドラゴンの像は、通常の首のほかに胸から小さな六本の首を生やし、二本足でたつという異形じみた姿で作られているのだ。」
悠「ちなみにこの像には、定期的に口から火を吐くという凝った仕掛けがあって、観光客の目を楽しませてる。」
摩耶「へぇ、いってみたいなぁ。」
千世子「クラクフに残る伝承によれば、ヴァヴェルの竜は極めて凶暴で、人や家畜を襲ったり、金品を強奪しとは洞窟にため込んでいたという。民衆は毎日ドラゴンに三頭の子牛か羊を与え、竜が空腹で暴れないようにしていたのだ。」
花描「見た目のわりに少食だな」
悠「いや結構でかいよ。子牛も羊も」
千世子「このようにクラクフを恐怖に陥れていたヴァヴェルの竜だが、多くのドラゴン伝承と同じように、人間に退治されることになるのだ。」
摩耶「そこは王道だね。」
千世子「竜退治といえば、人間離れした強さの英雄が死闘の末にドラゴンを倒すイメージがあるが、この伝承では世界中から集まった強い騎士たちが次々と返り討ちにされてしまうのだ。結局この竜を倒したのは武力ではなく、知恵が強力な竜を倒したのだ。」
悠「俺は知恵派だな。」
花描「ピエロくんは武力だろ」
悠「なんでやねん」
千世子「竜を退治したのは、クラクという見習いの靴職人だったのだ。彼は洞窟の前に、腹のなかに硫黄を詰め込んだ羊をおいておいたのだ。羊を丸のみにしたドラゴンは、硫黄のせいで喉がカラカラに渇き、川の水をガブガフ飲み始める。飲んでも、飲んでも喉の乾きはおさまらず、ついには水の飲みすぎで腹が張り裂け、死んでしまったのだ」
摩耶「腹バーンだね」
悠「引いてだめなら押し入れ続けるだな」
千世子「名だたる騎士にも倒せなかったドラゴンを倒した職人クラクは、国王の娘と結婚したのだ。そして街の名前は彼の名前から「クラクフ」と名付けられたのだ。はい、今日のじゅぎょーはここまでなのだ。」
花描「いやぁ、楽しいなまた来ていいかな?」
千世子「もちろんなのだ!」