ー奇談ー學校へ行こう

ー教室ー

悠「っで、このすっからかんの教室でなんの授業するんだよ。」

黒板以外何もない。
椅子とか机とかもない。

摩耶「ヒソヒソ(悠くん付き合うの?)」

悠「ヒソヒソ(だって、このままって訳にはいかんだろ。多分無視して帰ったら泣くタイプだぞ。この手の娘は)」

摩耶「ヒソヒソ(悠くんは優しいね。)」

千世子「なに私語してるの!」

悠「っか、先生ごっことかいうけど…なにか特別な知識でもあるのか?」

千世子「先生ごっこじゃ無いし!千世子は実際に頭がいいんです!」

摩耶「頭がいい子は自分の事を吸血鬼の真祖とかいわないと思うけどね」

千世子「むー!むー!吸血鬼をなめるな!私の祖先にはルスヴン卿やカーミラだっているんだぞ!」

摩耶「ルスヴン?カーミラ?」

悠「ルスヴン卿はみんながイメージする吸血鬼像だ。有名なのだとドラキュラ伯爵がぶっちぎりと思われてるけど本当の紳士的吸血鬼の元祖はルスヴン卿だ」

千世子「ほう、さすがは千世子の一番の優等生。」

悠は一番の優等生になった。

悠「誰がじゃ。」

千世子「照れるな。さて、ドラキュラより78年も前に書かれた小説「吸血鬼」の主人公、それがルスヴン卿。ルスヴン卿は、灰色の瞳と鉛のような色の肌を持つ、正体不明の貴族だった。人物の好き嫌いを露骨に表に出す性格で、派手な美女や嫌いな人物には目もくれないが、無垢な少女や貞淑な人妻相手にはプレイボーイに変身する者だ。」

摩耶「なんか悠くんみたいだね。」

悠「どの辺りがだよ!?」

摩耶「え、幼女も人妻も守備範囲なプレイボーイ?」

悠「ときどき、俺の事嫌ってないか?」

摩耶「いやだなぁ、僕は悠くんのこと大好きだよ。」
千世子「だから、授業中は私語を慎む!」

悠「授業だったんだこれ。」

千世子「さて、ルスヴン卿には、飛び抜けた能力こそないものの、弱点が少ない。圧倒的な腕力や変身能力、生命力はないけど、日光を苦にしない。また、ドラキュラなど一般的な吸血鬼には「故郷から遠く離れられない」制限があるこど、ルスヴン卿はイギリスからギリシャまで人間の青年と一緒に旅行するなど、長距離の移動が可能。ただ、ニンニクや十字架などが弱点だったかはわからない。」

摩耶「どうして?」

悠「ルスヴン卿は作中で吸血鬼退治の定番アイテムで攻撃されたことが無いんだ。」

千世子「ルスヴン卿の特殊な能力は、復活、呪い、誓いの強制の三つ。まず、ルスヴン卿は、肉体が死んでも、月が登るときの光で復活できるの。そして、小さな罪をおかすた人間に呪いをかけて、さらに堕落させる。最後の能力「誓いの強制」は、この物語の鍵になる能力。」

摩耶「どんな風に?」

悠「ルスヴン卿と約束をした人物は、その約束を破れなくなって、ルスヴン卿は人間の青年との旅の途中「自分の身に起きたことを誰にも話さない」という誓いを青年にたてさせるんだ。けど、その後青年はルスヴン卿の正体を見破るが、誓いのせいで誰にも話せない。そしてルスヴン卿は、何もできない青年に見せびらかすように青年の妹と結婚し、彼女の血を吸い付くしちゃうんだ。」

摩耶「ふぅん、その本、悠くん持ってる?」

悠「あるぞ、出典は吸血鬼、著はジョンポリドリだ。」

千世子「なんでそっちに聞くの!先生はこっちなのに!」

摩耶「あ、ごめん、ついね。」

悠「ふむ、しかし、お前本当に知識はあるんだな。(しょうもない知識だけど)」

千世子「当然。なでなでしてもいいよ。」

悠「ほれ。」

ナデナデ…
ナデナデ…

千世子「あははは!」

摩耶「っで、悠くんどうするの?」

悠「暇になったらまた顔だしてやるってことで。」
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