ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「雪なのだ!」

悠「死ぬ……。」

摩耶「テンションがハイ&ローだ」

千世子「あんちんは寒さに弱すぎるのだ」

悠「弱いんじゃない……致命傷なだけだ」

神姫「そこの窓枠に溜まってる雪集めて」

亘理『これ?』

悠「何する気だ」

神姫「背中に突っ込もうかと思って」

悠「失禁するからやめてくれ」

雨「そういうレベル?!」

千世子「じゅぎょーしていい?」

悠「あ、どうぞ」

【ピナーカ】
分類:戟、属性:雷、特殊効果:‐
系統:ヒンドゥー神話、所持者:シヴァ

神姫「失禁とかしたら本気で葬るわよ?」

悠「おれにとって雪とかはそういう事態になるくらい禁断の兵器なんだよ」

摩耶「おしめしとくといいよ」

悠「マニアックだなぁ」

千世子「1008もの異名を持つインドの破壊神シヴァが持つ三叉戟なのだ。戟とは「突く」「引っかけて切り裂く」を併せ持った長江の武器のことなのだ。つまり、先が三つに分かれたハルバードの東洋版だと考えていいのだ。デカン高原にあるパチまりの森には、1万年以上前の壁画があり、ここにはピナーカを持ったシヴァ神の絵が描かれているのだ。」

義鷹「しかし、廊下の雨漏りがひでーな」

雨「建物自体はオンボロだからね」

亘理『私の教室もポタポタ雨漏りしてた……』

悠「そこは自己修復しないのか」

千世子「ピナーカは、女神ディーバヴァが戦女神ドゥルガー(近づき難し者)になり、悪鬼マヒシャを打ち倒しに行くとき貸与さられたこともあるのだ。このとき、ヴァジュラ、チャクラム、アグニの炎槍などとともに、十本の腕に持つ武器のうちの一つとして貸与されたのだ。」

亘理「十本も腕があると不便ぽいね」

悠「千手観音なんて千だぞ」

摩耶「悠君は将来的にあと何本増えるの?」

悠「摩耶、おれはこれ以上増えないよ」

義鷹「千切れたら生え換わりはするんだろ?」

悠「よ~し~た~かぁ~」

義鷹「きしし」

千世子「シヴァとは、暴風の神ルドラの別名なのだ。台風や洪水が破壊をもたらしたあとに、緑の恩恵をもたらすように、シヴァ神は破壊と創造の両方を司る神なのだ。ちなみにシヴァという名前は「取り消す者、取り去る者」の意味なのだ。また、ナタラージャ(舞踊の王)とも呼ばれ、その舞踊自体が宇宙の力や秩序を象徴するといわれているのだ。マハーカーラという名前もあり、これは日本でいう「大黒様」と同じ意味だと考えていいのだ。」

悠「ハッスルダンスとか使えそうだな」

摩耶「賢者の石で良くないかな」

悠「それをいっちゃあおしめいよぉ」

神姫「回復する必要になる前に叩き潰せばもっといいわよ」

亘理『攻撃は最大の防御』

悠「受けの美学という物を知らんのか…」

神姫「受けれるの?」

悠「……無理です」

千世子「その皮膚は青黒く、髪の毛は長く、裸に短い腰巻だけまとい、片手にピナーカを持っていたのだ。太陽と月を表す両目の間には第三の目が開いており、この世界の果てまでも見渡せたといわれているのだ。四本の手にはヘビが巻きついて、足は邪鬼をふみつけ高くまであげられていたのだ。そして人間の邪悪な行動が世に満ち、神の慈愛が限界を超えたとき、世界を焼き尽くし破壊すると伝えられているのだ。」

亘理『色々怖いね』

義鷹「逆さ吊りのポルターガイスト女もそうとうだろう」

亘理『なにょ!!』

義鷹「くけけ」

千世子「シヴァは三都破壊者とも呼ばれているが、これは金で出来た都市、銀で出来た都市、鉄でできた都市、この三つの悪魔の都市をピナーカで焼き尽くしたことに由来するのだ。暴風の神であるシヴァが、都市を「焼き尽くした」と表現されていることから、ピナーカは雷の力を持っていた可能性が高いのだ。以上、ピナーカのじゅぎょーだったのだ。」
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