ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「バレンタインもうすぐなのだ。あんちんはチョコ以外のがいいのだ?」

悠「ヴァレンタインなんてのはリア充イベントだからおれには関係ないんだよ」

千世子「あんちんが卑屈モードなのだ」

摩耶「気にしないで喪男だから」

千世子「分かったのだ。気にせずじゅぎょーするのだ」

【ジョワイユーズ】
分類:宝剣、属性:聖、特殊効果:‐
系統:シャルルマーニュ、所持者:シャルルマーニュ

揺光【喪男とはなんじゃ?】

神姫「モテない男の事よ」

神姫「皇帝シャルルマーニュが持っていた細身の片手剣なのだ。といわれても「誰?」と思うかもしれないが、シャルルマーニュとは世界史の教科書などにも登場するカール大帝のことなのだ。」

亘理『美味しいけど歯の裏にくっつく奴ね』

雨「それはお菓子のカール」

亘理『ルイス?』

雨「カールルイスでもない」

千世子「イベリアでサラセン軍を撃破したカールマルテルの孫であり、フランク王国カロリング朝の初代王となった小ピピンの息子なのだ。西暦800年のクリスマスには、教皇から「ローマ皇帝」の帝冠を受けているのだ。」

悠「イベリコ豚のサラミ?」

摩耶「間違いがわざとらしすぎる」

悠「ばれたかー」

神姫「チッ」

悠「えぇ…舌うちっすか」

神姫「……」

悠「……」

神姫「チッ」

悠「やっぱり舌打たれたよ!!」

千世子「この実在の王(皇帝)は後にさまざまな騎士物語に登場したのだ。最終的にこれらの騎士物語は「シャルルマーニュ物語」としてまとめられ、現在に伝えられているのだ。騎士物語中のシャルルマーニュは、もちろん前線で荒仕事をすることはほとんどなく、ジョワイユーズは常にシャルルマーニュの権威の象徴として描写されているのだ。つまり、ドラゴンや異教徒、その他の怪物を倒すために使われるシーンはほとんどないのだ。」

義鷹「なんかショボイな」

悠「剣っていうか宝剣なんだから飾りだろ。実用性はないんじゃね?」

摩耶「儀礼済み宝剣ってところかな」

千世子「古フランス語叙事詩「ローランの歌」などでは、柄の部分にはロンギヌスの槍の欠片が埋め込まれていると記述されているのだ。この当時、各種の聖遺物を大量に持っていることが良き王の条件とされているから、シャルルマーニュも多数の聖遺物をコレクションしていたのだ。」

悠「聖遺物って結局ことごとく紛失してるんだよな」

揺光【外国の物知らん】

悠「灰とか釘とか」

揺光【将門の首ととか?】

悠「いや、それ聖遺物ちゃうから。」

摩耶「どちらかといえば呪い系だね」

千世子「ちなみにフランスの騎士たちは勝ちどきに「モンジョワ!(我が喜び)」という声をあげるが、これはジョワイユーズの名前が元になっているといわれてるのだ。以上、ジョワイユーズのじゅぎょーだったのだ。」
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