ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「熱い……。ホッカイロ七枚張りはやり過ぎたか」

摩耶「低温やけどするよ?」

亘理『ていうか、普通の火傷?』

千世子「はいはーい、みんなー今日からは歴史上の伝説武器のじゅぎょーにはいるのだ。」

【アイアスの盾】
分類:盾、属性:皮/対投擲武器、特殊効果:‐
系統:ギリシャ神話、所持者:アイアス

悠「伝説の武器っていっていきなり盾な件」

摩耶「盾だって殴れば立派な武器だよ」

悠「まぁ、そういわれたらそうだな。看板だって登りだって、自転車だって、スクーターだって、ガスコンロだって、ハバネロパウダーだって、接着剤だって武器だし」

神姫「龍が如く脳」

悠「むしろ褒め言葉ですが?」

神姫「……」

千世子「トロイア戦争時、ギリシア側の英雄アイアスが持っていた大盾なのだ。大外には青銅板が、内側には七枚の分厚い牛皮が重ねて打ちつけられていたのだ。」

神姫「でも武器ってペン一本有れば十分じゃないかしら、何処を貫いても結構痛いし」

悠「ペン先をこっちに向けないで先端恐怖症なの」

神姫「嘘だったら太もも狙ってこの手を振りおろすわ」

悠「嘘です。ゴメンナサイ。」

千世子「注意して欲しいのは「イーリアス」にはアイアスと呼ばれる人物が二人登場する事なのだ。アイアスの盾を所持していたのは、サラミス王・テラモンの子であり、身体が大きく「大アイアス」と呼ばれた方なのだ。」

神姫「あーあ……嘘つかれちゃった」

悠「なんでそんな恩着せがましく……」

神姫「なに?」

悠「……」

亘理『なんか今日は九頭竜さんよくしゃべるね』

摩耶「だねー。」

千世子「アイアスの盾が活躍したのは、ギリシャとトロイアの戦いにおいて、トロイア最強の大英雄ヘクトールとの一騎打ちを演じたときのことなのだ。ヘクトールが自慢の投槍をアイアスに投げつけたものの、皮を七重に配置したアイアスの盾は、その六層を貫かれながらも、見事にヘクトールの槍を受け止めたのだ。逆にアイスの投げた槍はヘクトールの盾を突き破り、傷を負わせることに成功しているのだ。」

摩耶「機嫌が良いのか、悠君を虐めたいんじゃない?」

亘理『サラッと酷い…』

雨「一回痛い目合った方が良い気もするけど」

摩耶「結構痛い目有って来る人な気もするけど……そうだねって雨ちゃんにうなずいとく」

亘理『言っちゃってるし』

千世子「その後二人の戦いは接近戦になったが、最終的には引き分けに終わるのだ。」

神姫「とりあえず……平手いい?」

悠「嫌だ」

神姫「一回でいいの」

悠「なに、本格的にSに目覚めたの?」

神姫「ううん。ただ殴りたいだけ」

悠「あ、もっと性質がわるい…」

千世子「しかし、この戦いの後、ヘクトールは銀鋲を打った剣と吊革を贈り、アイアスは真紅の色鮮やかな帯を送り、お互いの勇猛をたたえたというのだ。この戦いにより、アイアスの盾の名は、後代まで語り継がれる事になったのだ。以上、アイアスの盾のじゅぎょーだったのだ。」
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