ー奇談ー學校へ行こう4

ー壱階休憩所ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「なぁ、義鷹」

義鷹「あん?」

悠「幽霊ってさメシとか喰えないのな?」

義鷹「あぁ、基本あいつ等は喰わないぞ。もっと抽象的なモンを喰う」

悠「抽象的って……ピカソのキュビスム作品とか?」

義鷹「それは抽象画だ」

悠「よくわかったな」

義鷹「そのくらいは知ってるだろ」

悠「それで抽象的なものって例えば?」

義鷹「例えば体温とかだ。」

悠「熱を喰うのか?」

義鷹「いいや、正確にいうと喰うっていう表現じゃない。下級な幽体は人間とかを通り抜けたさいその部位の体温を奪うんだ。もちろん凍傷を起こしたり、氷漬けにするほどのじゃない。一瞬だゾクっとするくらいだろな。」

悠「それが食事行動なのか?」

義鷹「全部が全部じゃないがそういうこった。なかには命を吸う奴や水気、血肉を貪る幽霊だっている。そうなると悪霊とか怨霊の類になってくっけどな……」

悠「悪霊怖えぇ……。映画やアニメなら笑って済ませるけど、義鷹がいうと怖えぇ…」

義鷹「今時そこまで気合の入った幽霊はすくねぇよ。大抵大正末期に祓われてる。居たとしても封されてたり寝てたりだろうな」

悠「鎮伏屋はそういうのも祓うのか?」

義鷹「依頼があればな俺はやらねぇけど」

悠「なんで?」

義鷹「あんなスカスカのもん喰っても旨味がねーんだよ」

悠「義鷹は獲物=食材か…」

義鷹「全部はくわねぇぞ。狩った証拠がいるからな」

悠「そっちの稼業には関わらないからその話しはそれ以上はいいよ」

義鷹「ぎゃひひ、お前はそこそこやれると思うぜ。たぶん参回目くらいの仕事で死ぬだろうけどな」

悠「なりませんから」

義鷹「フリーだと楽だぜ好きな時だけやってたらいいから」

悠「三回で死ぬならヤダよ」

義鷹「もしかしたら伍、録回はいけるかもよ」

悠「結局一ケタ台かよ」

義鷹「お前みたいに人型を殺すのためらう奴は無理ってこった」

悠「答えがでてるんなら言うなよ。こっちは殺しは専門じゃないんだからな…。」

義鷹「ヒャハ、三人は殺してますって顔してんのにな」

悠「こんなぷりちーフェイスの何処がだよ」

義鷹「……なんで幽霊の話しなんかした?」

悠「急に素に戻んなよ……。いや、ただ気になったから聞いただけだ。ほら、亘理とか普通に物喰ってるし」

義鷹「アイツは妖怪だ。」

悠「わかんねー。幽霊と妖怪のルールわかんねー。」

義鷹「そんなもんにルールはねぇよ。あやふやで理解できないのが俺たちみたいな存在なんだからな。あくまで俺たちゃ奇妙な隣人さ」

悠「そんなもんかねー」

義鷹「そんなもんだ。」

悠「さて、帰るわ」

義鷹「おう、またな」

悠「あー……でも、おれは普通にお前らのこと好きだしツレと思ってるぞ」

義鷹「ヒャハ、深入りするとお前も取り込まれるぞ。」

悠「ソイツは怖いな」
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