ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「硬質と教室って似てるよな」

摩耶「全然」

悠「…硬質と教室て似てないか?」

義鷹「似てない」

悠「……なぁなぁ、硬質と教室って」

神姫「一度言ってウケなかったらいうのやめなさいよ」

悠「……」

千世子「ほーい、今日からは英国叙事詩の舞台に入るのだ。」

【フルンティング】
分類:魔剣、属性:血、特殊効果:‐
系統:古代英国叙事詩、所持者:ベーオウルフ

なのは「叙事詩ってなにですか?」

悠「民族の英雄や神話、民族の歴史として語り伝える価値のある事件を出来事の物語として語り伝える事だ。」

摩耶「つまり、吟遊詩人や語り部なんかがお口で伝えて来たお話ね」

亘理『お口で伝えるってなんか……えっち』

悠「お前も中々のアレだな」

千世子「スウェーデンにあったイェーアト国。この国の英雄騎士ベーオウルフが、数多の合戦の中で、大勢の敵を葬ってきた伝説的な魔剣なのだ。毒汁で鍛えられ、幾多の血を吸うたびに堅く鋭くなっていったという剣なのだ。とはいえ、「ベーオウルフ」のなかで、もっとも有名な勝負では、敵の打倒に失敗しているのだ。ただし、それが唯一の失敗なのだ。」

亘理『な、なんだょぉ!』

悠「いや、別に……」

神姫「こうして聞いてると基本チート武器ばっかりなのよね」

摩耶「伝説の武器ってそれが売りみたいなもんでしょ」

千世子「ベーオウルフが魔剣フルンティングを手にしたのは、沼地に住む怪物グレンデルとの戦いでのことなのだ。」

悠「義鷹の武器もチートなのか?」

義鷹「チートだ」

悠「即答…。」

雨「本人がチートみたいなものでしょう」

悠「義鷹、揺光、神姫、メフィスト……チートばっかりだな」

神姫「なに人外のなかに私を混ぜてるのよ」

千世子「グレンデルは毎夜のようにデネ(デンマーク)の王フロースガールの館に現れ、家臣を喰い殺していたのだ。そんな状態が何年も続いたとき、そこにベーオウルフが現れたのだ。ベーオウルフは、さっそく十二人の従者をしたがえてグレンデルと闘うが、その時持っていた剣の力は通じなかったのだ。」

悠「いや、神姫様はほら、常人とは一線を超えていますし。」

神姫「凡人と一緒にされても困るけど、人外と一緒にされるのも腹が立つわ」

悠「じゃあ……美貌が美しい」

摩耶「日本語が行方不明」

千世子「取っ組み合いの末にグレンデルの左腕をもぎ取ることに成功するも、沼地に逃げ帰ったグレンデルの代わりに、今度はグレンデルの母親(水魔)が出現したのだ。デネ王の家臣を攫い、グレンデルの腕をとり返していったのだ。」

揺光【美貌が美しいなら妾だろ】

悠「ややこしくなるから美貌が美しいを使うな」

摩耶「朝飯を作るのは朝飯前だ」

亘理『馬の上から落馬した』

悠「えーとえーと……び、美貌が美しい!」

雨「もういいって…」

千世子「そこでベーオウルフは、ついに魔剣フルンティングを借り受け、水魔の住処へ赴いたのだ。水魔は魔法で守られていたため、魔剣フルンティングは効かなかったが、戦の中でベーオウルフは水魔の武器庫のなかから、霧の巨人が鍛えた古剣を発見したのだ。ベーオウルフはこれを取り、水魔を真っ二つに切り伏せたのだ。このとき、その剣は水魔の毒血によって溶けて、金で作られた柄を残して無くなってしまうのだ。」

摩耶「エイリアンみたいだね」

悠「酸の血か」

「また、ベーオウルフは隣の部屋で息絶えたグレンデルの姿を見つけ首を切り落としているのだ。以上、フルンティングのじゅぎょーだったのだ。」
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