ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「さてさて、昨日まではケルト神話の幻想武器だったのだ。今日からはギリシア神話の幻想武器のじゅぎょーをしたいと思いますなのだ。」

【アルテミスの弓】
分類:神弓、属性:神、特殊効果:必中
系統:ギリシア神話、所持者アルテミス(ダイアナ)

悠「……」

摩耶「あれ、その人形なに?」

悠「あー、恋の本体何だけどな。結構ホコリとかかぶってるから綺麗にしといてやろうと思ってな」

揺光【例の座敷小娘か】

悠「座敷童子っていってやれよ……まぁ、小娘だけど」

亘理『また、女の子……』

悠「なに変な顔して目のまえぶら下がってる」

亘理『睨んでんの!』

千世子「オリンポス十二神の一柱であり、月と狩猟の女神と知られるアルテミスが持つ弓、「百発百中の弓矢」として知られているのだ。アルテミスは、ゼウスとレトの子であり、アポロンの双子の妹でもあるのだ。狩猟が好きで、ニンフたちと山野を掛けて鹿を狩ったというのだ。また、処女神であることから、逆に妊婦や出産を見守るともいわれているのだ。」

悠「なんで睨む?」

亘理『なんとなく』

義鷹「しっかし、汚い人形だな。」

悠「おい、乱暴に扱うなよ。これはおれの所有物なんだからな」
パタパタ…

雨「細かいほこり取りとかとか芸が細かいわね」

悠「フィギュアの手入れとかで馴れてるからな。」

千世子「ただしアルテミスは、他の女神と微妙に異なっていのだ。それは彼女がアポロンとともに、疫病をもたらす神としての性格を持っていることなのだ。疫病からは、どんなに離れていても誰も逃れることができないのだ。そして、これが「百発百中の弓の名手」、さらには「狩猟の女神」というイメージに発展していったのだ。」

摩耶「疫病とかは蛇とか蜘蛛ってイメージするのは僕だけかな?」

神姫「猛毒じゃないそれ」

悠「鼠とか腐乱死体とか……雨は毒持ってないよな?」

雨「出そうか?」

悠「出せるのか?!」

千世子「アルテミスの弓については幾つもの話しが残されているのだ。もっとも有名なもののひとつとして伝えられているのが、オリオンの悲劇なのだ。」

雨「冗談よ。糸しか出せないわ。」

悠「それはそれでエロそうだよな。糸引いてるって」

亘理『悠ちゃん……変態っぽい』

神姫「ぽいじゃなく変態よ」

千世子「アルテミスはポセイドンの息子であり狩猟が得意なオリオンに惹かれていったのだ。しかし処女を誓ったアルテミスに何かが起こってはまずいと、心配した兄アポロンは、オリオンを亡きものにしようとサソリを放ったのだ。」

摩耶「シスコンだ」

悠「サソリを放ったのは犯されそうになったアルテミス自身とか、ガイアって話しもあるけどな」

千世子「いかにオリオンが優れた狩人だったとしても、神々の放ったサソリからは逃げ切れない。ついに海の上、点のようにしか見えなくなるほどの沖まで逃げる事になったのだ。そこでアポロンが「いかにアルテミスが弓の名手でも、あんなに遠くの丸太を撃つことはできまい」とアルテミスをそそのかし、その手でオリオンを射殺させたのだ」

神姫「文字通り射殺ね」

揺光【心も心の臓腑も撃ち抜きじゃな】

亘理『なんでそんなに笑顔?!』

千世子「嘆き悲しんだアルテミスは、父ゼウスに頼み、オリオンを空に上げて星座にしてもらうのだ。同時に巨大なサソリも星座となったが、それはゼウスの茶目っ気なのか、アポロンの嫌がらせなのかは不明なのだ。いまなお、この二つの星座が同じ空に登ることは無いのだ。以上、アルテミスの弓のじゅぎょーだったのだ。」
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