ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ちぇき……。」

千世子「あっ!あんちん帰ってきたのだ!」

悠「あー……これ、お土産な」

摩耶「疲労困憊気味だね」

悠「色々、色々とあってな。あんまり寝て無いんだ」

亘理『揺光さんは?』

悠「うちで寝てんじゃねーの。ふぁぁ……」

摩耶「そんなにハッスルしたの?」

亘理『なんですと?!』

悠「摩耶は最近サラッと下ネタいうなぁ。……可愛い」

神姫「可愛いの判断基準が狂ってるわね」

千世子「じゃ、じゅぎょー開始なのだ。」

【ブリューナク】
分類:投槍、属性:光、特殊効果:拡散/追尾
系統:ケルト神話、所持者:ルー

悠「ところで隣の教室のドアが粉砕してたけど何かあったのか?」

神姫「狸に弾針剄叩きこんだだけよ」

悠「よくやった!」

後楽「ひっでぇーなぁ兄ちゃんは」

悠「チッ、無事なのかよ」

千世子「ケルト神話の光の神、太陽神ルーが持つ魔法の投槍なのだ。トゥアハ・デ・ダナーン(ダナ神族)の四大秘宝のひとつであり、神々の王ヌァダからルーに譲られたものなのだ。その名前の意味は「貫くもの」。ゲイアサイルという別名もあるのだ。」

摩耶「お父さんとの食事どうだった?」

悠「今回は新年はっ顔合わせで、互いに大人になって相手を思いつつだったから、20回くらいしか口喧嘩しなかったよ。なんにも壊さなかったしな。」

摩耶「じゃあ、かなり良かったんだ」

雨「それで良かったウチに入るの?」

悠「手を出さなかったんだから優秀賞だ」

千世子「ブリューナクの先端は五つに分かれており、槍というより銛に近い形状だったようなのだ。一度投げると先端が五つの光に分かれ、バラバラの切っ先が敵に降り注ぐという、今でいう多弾頭ミサイルのような性質を持つのだ。しかも、切っ先はルーが念じると自動的に敵の逃げた方向に飛んでいき、どこまでも追いかけて打倒したというのだ。」

亘理『なんでそんなに疲れてるのさ?』

悠「色々あったんだよ。色々と……」

雨「その色々を言いなさいよ」

悠「話すのも億劫だ」

神姫「どうせ余計なことに首突っ込んだんでしょ」

悠「そんなんじゃないもん!」

神姫「チッ」

悠「舌打ち?!」

千世子「この光の槍を見事に使いこなしたことや、魔弾タスラム、魔剣フラガラッハなど、遠距離から敵を逃がさずに打ち倒す武器を複数持っていたことなどから、ルーは別名「長腕のルー」といわれることもあったのだ。」

義鷹「クンクン……お前、何か持って帰って来ただろ」

悠「何かってなんだよ?生八つ橋か?食べていいぞ」

義鷹「違う。澄んだいい匂いだ。」

悠「おれのスメルじゃないか?」

摩耶「悠君はあせくしゃいじゃない?」

神姫「腐臭」

悠「何か最近よく腐ってるっていわれてる気がする」

千世子「資料の中には「魔眼のバロール」の眼を貫いて倒したのも魔弾のタスラムと、ブリューナクを混同しているケースがかなり見られるのだ。いずれも投擲武器であるという共通性からだろうなのだ。また、ルーが鍛冶場で鍛冶の神ゴヴニュの留守を守っているところにバロールが忍び込み、ルーによって真っ赤に焼けた鉄の棒で目を貫かれ死んだとする説や、ルーが祭りの最中にいたずらして海に浮かぶ小舟に矢を射かけたところ、たまたま小舟に乗っていたバロールの眼を貫いたとする説もあるのだ。」

亘理『腐ってるの?!』

悠「性根しか腐って無いよ」

神姫「それが腐ってたら人としては終わりよ」

悠「今日はバスバス言われる日だなぁ」

千世子「ゲイボルグはブリューナクを超える性能を持っていたけど、残念なことに、ゲイボルグには敵を追尾する魔力までは持っていなかったのだ。以上ブリューナクのじゅぎょーだったのだ。」
59/100ページ
スキ