ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

揺光【京へはいついくんじゃ?】

悠「あー?」

揺光【ほれ、正月前に花の精と約束したじゃろ】

悠「……いったけ?」

揺光【なんじゃ、謀るのか】

悠「……あーもーいいましたよ」

揺光【コンコン♪お主のかわゆい所は厄介事を必ず喰いつく所じゃな。それでいつ行く?】

悠「まだまだ春には遠いだろ」

揺光【春告精もまだ山でやさぐれとるわのぅ】

悠「やさぐれるの?!」

揺光【基本自分に合った季節以外は後ろ向きだったりするものが多い。】

悠「四季の裏側を知った気がする…」

千世子「はーい、じゅぎょー開始しますのだ。エマーを妻に得て、赤枝の騎士団のリーダーとなったクーフーリンは、著しい戦功を立てつづけるのだ。アルスターの隣国、コノートの女王メイヴがアルスター国の「魔法の牛」を欲しがって仕掛けてきた戦争「トィン・ボー・クールニャ」では、他の戦士たちが呪いによって力を失った中、単身奮戦し、一日に百人の敵を倒したというのだ。」

揺光【どうせなら泊まりがけで行きたいのぅ】

悠「って、事はお前もついてくる気か」

揺光【妾が居れば百億万力じゃろ】

悠「じゃあひとりでいって来てくれよ」

揺光【厭じゃ】

悠「……」

千世子「しかし、共に修行したクーフーリンとフェルディアは、祖国の違いから敵味方に分かれることになったのだ。クーフーリンのあまりの強さに、女王メイヴはフェルディアをさし向け、クーフーリンと一騎討ちさせたのだ。二人の力は互角だったが、四日目にクーフーリンは反射的にゲイボルグをつかってしまい、ついに親友を殺してしまうのだ。また、息子のコランとも一騎討ちさせられ、ゲイボルグで刺し穿ってしまうのだったのだ。」

摩耶「圧勝だね」

義鷹「初発で仕留めれてないのが甘いな。余裕を与える前に懺滅しなきゃ意味がない」

亘理『野蛮』

義鷹「うるせーよ」

千世子「フェルグス、コランを失ったメイヴは、魔術師のカラティン三兄弟を呼び寄せ、クーフーリン抹殺を図るのだ。そしてクーフーリンが「犬の肉は食べない」「目下のものがすすめた食物は断らない」という誓いを立ててることを利用し、その誓いを破らせて、クーフーリンの力を弱めることに成功したのだ。」

亘理『犬って美味しいの?』

悠「基本生きものは食える。おれは遠慮したいけど」

摩耶「でも、結局食用向けの肉が一番おいしいよね」

悠「そりゃな。天然物で美味いのは魚だし」

千世子「しかし、それでも戦場でクーフーリンはゲイボルグを投げ続け、多くの敵兵を殺傷していたのだ。そこでカラティン兄弟のひとりが槍を拾い「王の槍は王に当たれ」と唱えて投げ返したのだ。するとゲイボルグはクーフーリン御者、つまり「御者の王」であったレーを倒したのだったのだ。」

義鷹「イノシシや熊は基本野生だぜ」

悠「どっちもそんな喰わないし」

揺光【雑食よのぅ】

義鷹「狐は不味いがな」

揺光【コンコン♪妾は絶品じゃぞ?のぅ悠?】

悠「ノーコメントで…」

千世子「クーフーリンは再び槍を投げたが、カラティン兄弟はそれを拾い、同じ呪文を唱えて投げ返したのだ。ゲイボルグは、今度はクーフーリンの愛馬、「馬の王」であったマッハを殺したのだ。クーフーリンはさらにゲイボルグを投げたのだ。カラティン兄弟は、また同じ呪文を唱えて投げ返したのだ。すると、ついにゲイボルグはクーフーリンに命中。彼は内臓を撒き散らしながら倒れたのだ。しかし、クーフーリンは最後の気力を振り絞り「立ったまま死にたい」と自らの身体を石柱に縛り付け息絶えたというのだ。ケルトを代表する英雄のわずか27歳の生涯は、あまりに苛烈だったのだ。以上、ゲイボルグのじゅぎょーだったのだ。」
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