ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(12/13/夜)ー

夜風にキシキシと哭く木製の校舎のある一教室。
今日もためにはならない授業が始まろうとしていた。

千世子「はーい、出席をとりまーす。悠のあんちん、まーや、神姫ねーちん」

悠「ちぇき~っす」

摩耶「元気で~す」

神姫「…居るわ。」

千世子はニコニコとうなずくと、黒板に授業テーマを書いていく。

身長と黒板の高さがあっていないので一生懸命背伸びしてプルプルと足が震えている。

悠「……台作ってやるか」

摩耶「それがいいかもね。このままだとちょこちゃんの足がケンタウルスみたくなるかもだし」

悠「見たことはないけどムキムキだろうな」

神姫「バカね…」

千世子「はい、今日はこれ!」

【ファフニール】
生息地域:北欧諸国
出典:北欧神話、ゲルマン神話

神姫「北欧神話は有名よね。」

千世子「ファフニールはヨーロッパ北部に伝わる神話「北欧神話」に登場するドラゴンなのだ。ファフニールは時代や場所、言語によってさまざまに名前を変えていてファーブニル、ファフナーなどの異名で呼ばれてるのだ」

悠「ズボンのチャックとかだな」

摩耶「それはファスナー」

神姫「くだらな…」

千世子「あんちんは減点一なのだ。」

千世子は白衣のポケットから小さな手帳をとり出して、なにかを書く。

悠「えー…冗談で減点?」

千世子「さて、ファフニールは手足の生えた蛇のような姿をしたドラゴンで、口からは毒を含んだ息を吐くことができる。全身を強固な鱗に覆われているが、唯一腹部だけは柔らかい皮膚が露出しているというのだ。」

摩耶「ドラゴンらしいドラゴンだね。」

悠「肉質が柔らかいのが腹か。潜り込んで溜め切りだな。」

神姫「それより…頭から貫通弓よ」

悠「お!」

神姫「こっちみんな」

千世子「このドラゴンの血肉には特別な力が備わっている。竜の血を飲んだものは鳥や動物の言葉を理解できるようになり、心臓を食べたものは誰よりも賢くなれるのだ。」

摩耶「蛇の肝とかすっぽんの血を飲む感覚かな?」

悠「蛇の肝は食ったことないな。すっぽんの血はあるけど……ちょっと下半身が大変なことに」

神姫「ジトッ…」

悠「睨まないで…」

千世子「ファフニールは非常に有名なドラゴンなのだが、じつはこの名前はもともとドラゴンの名前ではなかったのだ。というのもファフニールは、別の生き物がドラゴンに変身した存在だから。その正体は「ドヴェルグ」という小人族で、ファフニールというのもその小人族の男の名前なのだ。はい、今日はここまで。明日この続きをするのだ。しっかり予習してくるよーに」

摩耶「予習ってどうしたら?」

悠「北欧神話かゲルマン神話、読むといいんじゃないか」
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