ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

神姫「シレっと帰ってくるわよね」

悠「んぁ?」

摩耶「いつの間にか現れて、いつの間にか消えている。それが悠クォリティー」

悠「え、おれの事が好きって?」

神姫「右の耳穴と左の耳穴繋げてあげましょうか?」

悠「遠慮します。っというか、暫く針状の物を向けないでください」

摩耶「弱トラウマだね」

悠「強トラウマかな……」

千世子「あんちんが来たらねーちんの方が来なくなったのだ」

悠「アイツは家で子守だ」

千世子「ふーん……それは置いてじゅぎょーなのだ」

【件】
一生を予言に掛ける妖怪

揺光【すんすん……む?】

悠「なんだよ」

揺光【雌の匂いがする】

悠「雌って……そりゃ女だっているから当然だろ」

揺光【否、唾液の匂いと血の匂いと薬の臭いが混ざって気持ちが悪ぃ……。】

千世子「手紙や証明書類の作法で、文章の最後に「件のごとし」と書くことがあるのだ。この「件」という言葉は、実は妖怪からきているという説があるのだ。「件」は中国、四国、九州地方に伝わる妖怪で「にんべん牛」とかくことからもわかるように、牛の身体に人間の頭と奇怪な姿をしているのだ。一説では、人間と牛の間に生まれるのが件といわれてるのだ。」

悠「気持ち悪いって……そんな匂うか?」

摩耶「僕には分からないけど」

揺光【妾は鼻が利くからのぅ……。】

義鷹「確かに血の匂いはこびり付いてるな」

悠「おれに女の子の日は無いよ?」

神姫「……」

トスッ!
悠「っ……ゆ、指と指の間に針が……」

千世子「件は非常に短命な妖怪で、生まれるとすぐ死んでしまうのだ。その寿命は件が予言を残してから4~5日という説がおおいのだ。件の残した予言は必ず当たるというのだ。予言の内容は、流行病や戦争など、非常に広い対象にふりかかる不幸に関する物が多いが、ときには豊作などの良い出来事を予言することもあったようなのだ。」

悠「チョコボイーターの「次はお前だ」みたいな感じだな」

摩耶「微妙に懐かしいネタ持って来たね」

亘理『けど、予言と予告は違くない?』

神姫「なんにしても……いった事を事実にすればいいのよ」

悠「なんだろ……その言い方は怖いわ」

千世子「この妖怪は、江戸時代中期頃には全国で知られるようになった。天保7年(1836年)に発行され、現在でも保存されている瓦版には、件の絵が大きく描かれ、件が豊作を予言したという記事が書かれているのだ。」

摩耶「悠君も予言キャラやってみたら?」

悠「えぇ……なにその無茶ぶり」

神姫「誰かに馬鹿にされるっていっておけば百発百中じゃないの?」

悠「それ、予言じゃなくただの鬱です」

千世子「この瓦版の文面には、件の絵図を家に貼れば、家は発展し病気のお守りにもなるとまで書かれていたのだ。薬のトレードマークに件の絵を使い、「効き目は件のごとし」とアピールしてひと儲けした商人も居たらしいのだ。件は、江戸時代の庶民が広く信じている妖怪だったのだ。」

悠「予言とは違うけど夢なら占いで似たような事できるかもな」

亘理『また、女?』

悠「なんでお前はおれが女の名前出すと機嫌悪く何のよ……」


「このような背景から、「件のごとし」の由来は妖怪の件、という説が産まれたのだ。しかし、件の表現は、平安時代の随筆「枕草子」に既にあるため、妖怪が由来というのは間違いの可能性が高いのだ。以上、件のじゅぎょーだったのだ。」
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