ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「あんちん休みなのだ?」

悠(女)「あー、暫く休むかも」

千世子「残念なのだ……。」

亘理『チヨちゃん……ほら、あたし達がいるぢゃん!』

千世子「うんなのだ♪」

亘理『あーもーチヨちゃん可愛いなぁ~』

ぎゅ~
千世子「むぎゅーなのだぁ」

摩耶「あはは。(っで、調子は?)」

悠(女)「(分からん。帰ってない)」

神姫「(あの怪我で、そんなうろつけないでしょ)」

悠(女)「(神姫も行ってたのか)」

神姫「(……まぁね。)」

千世子「それじゃ、じゅぎょーするのだ」

悠(女)「(ま、あーしが生きてるからアイツも死んでないさ)」

摩耶「(でも、消えるなんて不思議だよね)」

【火車】
火車はキラめくパッションフルーツ♪

千世子「日本では仏教、神道を問わず葬儀の時、亡くなった人の枕もとや胸の上に刃物を置く「守り刀」が習慣となっているのだ。これは、死体をさらっていってしまう「火車」から、死体を守るためなのだ。」

揺光【あの鉄砲玉が消えるなどいつものことであろう】

摩耶「聞こえてたんだ」

揺光【妾は耳がよい。あっちは耳年増じゃ】

雨「誰が耳年増よ!」

千世子「火車は、葬式の場や墓場などに現れて死体を奪っていく妖怪なのだ。暗黒とともに現れた火車は、嵐を起こして棺桶のフタを吹き飛ばし、死体を奪うというのだ。火車の出現は、死者が生前に罪をおかした証拠とされ、人々はそれを恥ずかしいことであると考えたのだ。」

雨「一番の耳年増はあっちでしょ」

亘理『そ、そんなことないわよ!』

悠(女)「あるだろ」

摩耶「あるねー」

義鷹「バーカ」

亘理『なんだとー鳥猫!!』

義鷹「ふん」

千世子「火車の正体は、年取った猫が妖怪化したものとされることが多く、江戸時代の妖怪画家である鳥山石燕の「図画百鬼夜行」でも二本足で立つ猫のような姿で描かれているのだ。そのため、同じく猫が妖怪に変化した「化け猫」と同じ妖怪であると見られることもあるようなのだ。」

揺光【鳥猫とは……コンコン♪】

義鷹「笑うな雌狐」

亘理『あれって……笑ってるの?』

悠(女)「多分な。喉を鳴らしてるのかもしれないけど」

千世子「鹿児島県の一部では、火車は「キキトリ」と呼ばれるのだ。キキトリは死体を奪うのではなく、墓場に現れては死体を掘りだし、肝をとってくってしまうのだ。」

摩耶「それにしても意外だな。神姫さんも見にいってたなんて」

神姫「私っていうより父がね」

摩耶「なるほど」

義鷹「さっきからなにコソコソ話してる?」

摩耶「んー、世間話だよ」

義鷹「ふーん…」

千世子「元々の火車は妖怪では無かったのだ。「火車」とは本来、仏教の言葉で、罪人の魂を地獄へ連れて行くための燃え盛る車のことだったのだ。これが伝言ゲームのようになって今の妖怪火車となったといわれてるのだ。以上、火車のじゃぎょーだったのだ。」
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