ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「それなりにはツリーらしくなったかな」

千世子「千世子の家のより立派なのだ。」

摩耶「じゃあ、持って帰る?」

千世子「いいいのだ。これはここのみんなのツリーなのだ。」

亘理『チヨちゃん、ええこやわ~』

千世子「けど、あんちんもエライのだ。」

悠「はっは、そうだろ。なんでだ?」

雨「ふんぞり返ってわりに理由は聞くんかい」

悠「やーん、ツッコミが上手になってきたねぇー。ほーら、なでなで」

雨「喉の下撫でられてもなんも嬉しくないんだけど」

悠「あー……猫じゃなく、蜘蛛だったな」

雨「カチカチカチ」

悠「久々のトラウマ級の顔だけ蜘蛛化」

雨「カチカチ……驚かなくなったわね」

悠「さすがに見馴れました」

摩耶「それで、あんな感じの悠君の褒められる部分て?」

千世子「ちゃんと約束通り飾り買ってきてくれたのだ」

悠「買ってきとかなきゃどうなるか分かったもんじゃないし」

神姫「どういう意味よ」

悠「なんでもございませんです。はい。」

千世子「それじゃ、夜行さんの続きをするのだ。夜行さんや百鬼夜行は、毎月2~3回、決まった日に現れるのだ。その中にはお正月なども含まれており、この夜行さんが現れる日を「夜行日」と呼んだのだ。」

悠「摩耶、あとのことは頼むぞ」

摩耶「はい?」

悠「女の子は月に一回、「女の子の日」が……」

神姫「どうなるか分かってていった勇気は認めたげるわ」

ドスっ!
悠「げっほげほっ!」

摩耶「ヘルクラッシュ(地獄突き)とはまた安定の激痛だ」

千世子「夜行日は「忌み日」という日がもとになってうまれたといわれてるのだ。忌み日とは、年中行事や神様を迎える祭りなど、特別な日にそなえて身体を清め、準備する日のことなのだ。人々は忌み日になると仕事を休み、家で静かに暮らしていたのだ。」

悠「けほっ~げほっ~」

摩耶「喉仏って潰されると半端ないよね。僕も蹴られてのたうちまわったことあるし」

亘理『摩耶くんって喉仏でてるの?』

摩耶「うん、なんで?」

亘理『あ、ううん、なんでもない。(そうだ。摩耶君は男だった)』

千世子「しかし、時代が下がるにつれて信念の概念が薄れていったことやその日その日の運勢を占う方法が日本に広まったことから、しだいに忌み日は祭りの準備日ではなく、縁起の悪い日と考えられるようになるのだ。こうした悪いイメージから「夜行日」という、夜行さんや百鬼夜行が現れた日が生まれたというのだ。」

悠「おげっ……はぁ、やっと、呼吸ができる」

義鷹「お前……バカだよな」

悠「怪盗はいいました。人生はどれだけ馬鹿なことをできるかだと」

神姫「たぶん、それいったのはルパンよ」

悠「ミハイルは言いました。ジョークは人生のスパイスだと。」

摩耶「いってる人があんまりよくないね。」

悠「おれは言いました。……特にない。」

神姫「もう喋るな」

悠「えぇ……。」

千世子「夜行日の他にも、夜行さんは節分や大みそか、庚申の日に現れるのだ。庚申の日とは昔の暦の数え方で、60日、または60年ごとに巡ってくる日のことなのだ。この日の夜は眠らず、慎ましく暮らすべきとされていたのだ。以上、夜行さんのじゅぎょーだったのだ。」
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