ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

摩耶「悠君」

悠「なんだ?」

摩耶「最近、悠君がもの凄く馬鹿なんじゃないかって噂が耳に入ってきてるよ」

悠「あー?」

神姫「バカだから正確な噂ね。」

雨「むしろ事実」

悠「あーあーきこえなーい、きこえなーい。」

摩耶「現実逃避しながら聞いてくれていいんだけど、たぶんラジオのがネタか本気か分からなくなってきてるんじゃないかな」

悠「なるほど、しかたないさ、馬鹿の振りをするのは大得意だからな」

神姫「だから素でしょ」

悠「あーあーあーきこえなーい。何にもきこえなーい。何か眠くなってきちゃったか寝ちゃおうかしら、あーあー寝ちゃおうー」

千世子「あんちんの現実逃避のバリエーションが豊富なのは分かったから、じゅぎょーするのだ」

【小豆洗い】
登場テーマは小豆の音色

悠「現実逃避のバリエーションとかいわれたよ」

雨「そのテンションの上がり下がりって病気レベルよ?」

摩耶「悠君、頭はいいんだけどバカだから」

雨「亘理がバカだけど頭はいいみたいな感じね」

亘理『どーいう意味じゃー!!』

千世子「川や渓谷などの川辺では、水のせせらぎ以外の音がきこえてくることがあるのだ。昔の人はその音を「妖怪小豆洗いが小豆をといでいる」といって恐れたのだ。」

悠「渓流ではしばしばロアルドロス亜種の鳴き声が聞こえるという」

亘理『楽々狩猟できるけどね』

千世子「小豆洗いは、その名の通り井戸や川などの水辺で小豆を洗う妖怪なのだ。小豆洗いの姿を見ることはできないといわれているが、江戸時代に書かれた奇談集「絵本百物語」では、川辺で小豆をとぐお爺さんの姿で描かれたのだ。現在よく知られている小豆洗いの姿は、この本が元になっているのだ。」

揺光【悠は小豆より豆のが好きじゃろ?】

悠「種類に拘らず豆は好きだぞ」

揺光【女の豆とかもじゃろ】

悠「大好きですね」

神姫「……」
ブンっ!

揺光【ひょいっと】

ドゴッ!!
悠「ぶぎゃ??!」

摩耶「人中に綺麗な裏拳が当たったね」

千世子「小豆洗いの伝承は日本全国にあるのだ。ほとんどの地域で小豆洗いは、小豆を洗うだけで実害のない妖怪だが、中国地方では事情が違うようなのだ。中国地方北部の鳥取県では、小豆洗いの姿を見ようとすると水に落とされてしまうのだ。また、鳥取県のすぐ西にある島根県の出雲地方では、小豆洗いは森に住み人を襲うというのだ。」

悠「……」

亘理『悠ちゃん、大丈夫?』

悠「だいじょばない……。」

揺光【おーよしよし、可哀想にのぅ】

摩耶「揺光さんはしっかり避けてたよね?」

灼羅「そういう奴じゃ」

千世子「小豆洗いは地方によって呼び名も微妙に違うのだ。一例をあげると「小豆とぎ」(鳥取県など)「小豆さらさら」(岡山県)「小豆ばばぁ」(埼玉県、神奈川県など)「小豆ごしゃごしゃ」(長野県)といった具合なのだ。ただし大半は小豆を「とぐ」という行為をそれぞれの地方の方言であらわしたもので、その行為には違いが少ないのだ。」

悠「うあぁ……一瞬意識がフェードアウトした」

雨「そのままアウトドロップしたらよかったのに」

悠「死ねってかこの蜘蛛っ娘が!!」

雨「ここだったら多分生き返るわよ」

義鷹「ひゃはは。確かにな」

悠「笑えねーし」

千世子「明治時代の民族学者「柳田國男」は、小豆洗いの正体を「動物が土砂を掘る音」だと推測したのだ。この音を妖怪の仕業と勘違いして小豆洗いが産まれたのだ。以上小豆洗いのじゅぎょーだったのだ。」
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