ｰ教室ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

神姫「誰が極道よ」

悠「あー……やっぱ、ラジオ聞くいてたか」

神姫「っで、死ぬほど怖い目に会いたいのが、ご所望なの」

悠「できれば痛いのとか怖いのは遠慮したいかな。気持ちいいのとかは可」

神姫「三角締めで落としてあげましょうか?すぐに気持ちがよくなるわよ」

悠「意識飛ぶじゃん」

千世子「はーい、今日も濡れ女と牛鬼のじゅぎょーの続きなのだ。東北地方南部、福島県と新潟県の境にある川に出没したという濡れ女は、柳の枝を伐採しにきた若者たちを襲ったのだ。その襲い方は子供を抱かせて動けなくするという回りくどいものではなく、「蛇のように人間に絡みついてから生き血を吸う」という、非常に直接的で残忍なものなのだ。」

神姫「やっぱり絞めるのが確実よね」

悠「基本決まったら確実にやれる手段だからな」

神姫「それでどこを絞められたいの?」

悠「……優しく抱きしめてください」

神姫「却下」

千世子「濡れ女とよく似た妖怪はとても多いのだ。次のじゅぎょーでする産女とかが代表例なのだ。けど、他にも、長崎県や熊本県など九州地方西部の水辺には磯女という妖怪が出没するというのだ。この妖怪は水辺にいる人間に髪の毛を巻き付け、毛を伝って血を吸うというのだ。」

摩耶「血を吸うの好きだね」

悠「美味いんじゃねぇの?その辺どうなんだ?」

義鷹「俺は吸血じゃなく捕食だから一括で味わう」

摩耶「普通に聞いてるけど恐ろしい事だよね」

悠「カニバリズムだな」

亘理『愛だね!愛!がぶりっ!!』

悠「おれの腕を噛むなッ!!」

千世子「磯女の上半身は長い髪の絶世の美女だが、下半身は幽霊のようにぼやけているか、ヘビや龍のような姿をしているのだ。また、普通の女性と変わらない姿であるという伝承や、磯女を後ろから見ると岩に見える、という伝承もあるのだ。」

亘理『ぢゃ～首?』

悠「噛むのをやめなさい!噛むのを」

摩耶「吸うのは良いんじゃない?」

亘理『ぢゅ～!』

悠「痛っでで!!やめいっ!!首に跡絶対着く!!」

神姫「リップサービスね」

義鷹「噛み痕じゃね?」

千世子「そして、四国の西北にある愛知県南西部、宇和地方などに出没するのは「濡れ女子」という妖怪なのだ。この妖怪は、濡れ女と違って人を喰らうなどの残酷な行為はしないのだ。」

悠「あ～……めっちゃ痛かった。血でてないか?」

摩耶「紫色になってる」

悠「どんな力で吸った。」

亘理『消えかけたら、また着けるね♪』

悠「やめてください」

千世子「濡れ女子は洗い髪、つまり風呂上がりのように濡れた髪であらわれ、ひとを見るとニタリと笑うのだ。このとき見られた者が笑い返してしまうと、濡れ女子はその人間に一生つきまとうのだ。いうなれば濡れ女子は、妖怪版ストーカーなのだ。」

揺光【どれどれ、妾も何処かに跡を着けようか】

悠「なんでだよ」

揺光【背中に爪あと何ぞ好きではないか?】

悠「いろいろ誤解招くだろ」

摩耶「今さらな気もするけどね」

悠「まーや」

摩耶「あはは」

千世子「牛鬼単体の伝説は、近畿や四国、中国地方などに伝わっているのだ。牛鬼は単体でもコンビ時と同じく凶暴な性格で、人間に害を与える妖怪として知られているのだ。以上、濡れ女＆牛鬼のじゅぎょーだったのだ。」