ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「フィレオフィシュが食べたい」

摩耶「あれ、フィレオフィシュそんなに好きじゃないんじゃなかったけ?」

悠「んー……そうなんだけど、頭から離れないんだ」

神姫「フィレオフィシュ、フィレオフィシュ、フィレオフィシュ……」

悠「余計悪化させるの止めて?!」

千世子「今日は趣向を変えて橋の話しをするのだ。」

【一条戻り橋】

悠「頭の中でフィレオフィシュが踊ってる……」

冥『なんか楽しそうだね』

悠「油っぽいよ」

揺光【あぶらあげ?】

悠「いっとらん、いっとらん」

千世子「橋は土地の端にあり、他の土地との境目にあるため、特殊な場所として考えられてきたのだ。このような場所はこの世とあの世の境でもあり、霊や怪しいものが集まったり、不思議な出来事が起こるのだ。」

義鷹「美兎居るか?」

悠「義鷹、こっちには来てないぞ」

義鷹「なんだ……いっちまったのか」

悠「なんかあったのか?」

義鷹「いや、タバコ買ってきてもらうの伝え忘れただけだ」

悠「タバコか……アークでよかったらあるぞ」

千世子「そのような力の強い場所でもあるため、橋はさまざまな儀式の場所ともなるのだ。橋の近くに占い師が多いのも、あの世に繋がるという橋の力を借りて占いをするからなのだ。」

義鷹「お前吸ったけ?」

悠「どちらかといえば嫌煙家だ。でも、お守り代わりにいつもひと箱持ってる。」

義鷹「へぇ、なんでもいいや。くれ。」

悠「んっ」

義鷹「ふ~……甘いな。」

悠「このバニラの匂いだけは……ほんの少しだけ好きなんだよな」

千世子「はーい、そこ!喫煙は喫煙所でするのだ!」

義鷹「小うるさいな」

悠「子供の居る場所で吸う義鷹が悪い」

義鷹「おま……チッ、とりあえず貰ってくぞ」

千世子「変わった名前の端にはしばしば言い伝えがあるのだ。朝一番に通ると何者かのお告げが聞こえる細語橋、正体のわからない何かが見えるという面影橋などがそれなのだ。なかでも群を抜いて多くの伝説を持つ橋があるのだ。京都の一条戻り橋。単に戻り橋とも呼ばれるこの橋は、昔から様々な怪異が起こる橋なのだ。」

悠「……」

摩耶「アンニュイ?」

悠「んー……センチメンタル」

神姫「気持ち悪」

悠「ブロークンハートっ!」

千世子「一条戻り橋は、京都一条堀川にかかっていた橋で、陰陽師が橋占いする場所だったのだ。一条戻り橋の「もどり」は「もとおり」からきた言葉で、本来の意味は神の意志を占い問う、という行為をさしているのだ。つまり「占いのメッカ、一条もとおり橋」というのが正しい由来と思われるのだ。」

亘理『え、モノブロハート?落としたの?』

悠「誰が一角竜モノブロスやねん」

摩耶「モノブロスは影薄かったよね」

悠「モノブロ狩るならディアブロ狩るしな」

摩耶「本当に悠君は角フェチだね」

千世子「しかし、その名の由来に関してはこんな話しもあるのだ。918年、三善清行という男が死んだのだ。危篤の知らせを受けた息子の浄蔵は京に戻ったが間に合わず、この橋のうえで葬儀の列に会ったのだ。浄蔵は棺に取りすがって神仏に祈ったのだ。すると清行は一時的に生き返って浄蔵と話す事ができたというのだ。」

なのは「感動の再会なの」

悠「死人に口なし」

要「やめろよお前」

千世子「この逸話から、一条戻り橋はあの世からこの世に「戻る」橋だと考えられるようになったのだ。そのため、死刑囚が真人間に「戻る」ように処刑前にこの橋を訪れたり、戦争に行く兵士が無事に「戻る」ようにこの橋を渡る願掛けが生まれたのだ。逆に、霊が戻ったり結婚した女性が出戻らないように、葬儀や結婚式の行列はこの橋を避けたというのだ。以上、一条戻り橋のじゅぎょーだったのだ。」
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