ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「クリスマスシーズンだな」

千世子「あんちんは日本刀が欲しいらしいのだ」

摩耶「日本刀を持ったサンタってもはやホラーだよね。」

悠「子供の首切り落として袋に詰めて去っていくとか?」

神姫「B級ホラーな内容だけど、上手くいけば面白そうね」

千世子「あんちん達はサンタさんに謝るべきなのだ」

悠「サンタが来なくなった人間はサンタに敬う気は無いんだよ」

摩耶「生臭い大人の匂いが漂うね」

後楽「おじさんは少年心のままだからサンタを信じてるぜ。ひっく……うぃ」

悠「酒片手になにが少年心だ。」


千世子「サンタの話しはおいといてじゅぎょー開始なのだ。」

【猫又】
ペットから妖怪へトラヴァーユ!

神姫「けど……サンタ居るのかもしれないわね」

悠「おいおぃ……なにいってんの?」

神姫「ここの連中見て居ないって断定できる?」

悠「あ……」

千世子「ペットが長生きするのは、飼い主にとって嬉しい事なのだ。猫又とは、長い年月生きて神通力を手に入れ、妖怪となった猫のことなのだ。猫がどのくらいの年月を猫又になるかは、伝わる地方や物語によって違うが、早くて10年、長くと100年が必要といわれているのだ。」

亘理『冥ちゃんは……』

冥「恨みで猫又になったニャ♪」

悠「明るく言ったな~」

千世子「猫又の外見的特徴は、尻尾が二本になる、または尻尾の先が二股になるのだ。猫又という名前も、この二つに分かれた尻尾に由来しているのだ。」

冥「もう今は恨みもなにも無いのナ。十分達観したのナ」

摩耶「マリオも猫又になるかな」

悠「既に猫の領域は突破してるけど……どうだろうな。マリオの死に目は見たくないが……マリオを残して死ぬのも辛い」

義鷹「エゴだな」

悠「エゴだよ。」

千世子「猫又になった猫は、人間の言葉を話せるようになるのだ。その他にも念力を使ったり、火の玉を作ったり、人間に変身できる猫又もいるのだ。そして猫又は、この能力を使って悪事を働くのである。その悪事はいたずら程度で済む事もあれば、人間を喰い殺して犠牲者に化ける恐ろしい猫又の話しも伝えられているのだ。」

悠「いたずら程度なら全然許容範囲だけどな」

摩耶「けっこうやられてるしね。ブリッジしたらお腹のうえに乗って小一時間退いてくれなかったり、立ち上がった瞬間足のうえに乗られて動けなくされたり、ドムよろしく踏み台にされたり」

悠「可愛すぎるだろ」

亘理『マゾ?』

神姫「マゾよ」

悠「ちゃうし!!!」

千世子「しかし猫又のなかには、主人に忠義を尽くすよい猫又もいるのだ。江戸時代末期の大阪には、飼い主の娘に取り憑こうとした妖怪と闘い、相打ちになって死んだ猫又の伝承があるのだ。猫又が主人である大名家の仇を討った「鍋島猫騒動」も有名なのだ。」

なのは「鍋島猫騒動?」

悠「鍋島猫騒動といえば龍造寺政家の猫が主人の遺恨を継続して鍋島家を一代滅ぼすことに尻尾が一本増えていく…………ん?龍造寺に一代潰す度に増える尻尾…………管理人ちゃん、尻尾何本で苗字なんだっけ?」

冥「七本で円造寺ナ♪」

悠「ほんとーに……円造寺?」

冥「ニャ♪」

千世子「飼い猫を猫又にしたくない場合、その猫を飼う前に「お猫を○年飼うつもりだ」を伝えておけばいいのだ。こうすれば約束の期間が来た時、猫の方から自然に姿を消してくれるのだ。同じ猫を長期間飼わなければ、猫又になる心配も無い訳なのだ。以上、猫又のじゅぎょーだったのだ」

冥「にこにこ♪」

摩耶「悠君、それ以上聞きこむのは危ない気がする」

悠「……だな」
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