ー奇談ー學校へ行こう

ー教室(12/10/夜)ー

夜の授業開始間近。
千世子はご機嫌に鼻唄をハミングさせながら教室のドアを開けた。

千世子「ふふふんーふふん♪ふふんーふふん♪」

※亡き王女の為のセプテット。

悠「じゃーんけん…ぽん。ごぶしのグー」

摩耶「掌のパー」
神姫「ビンタのパー…」

悠「げ、負けた。」

ジャンケンをしている三人に千世子は駆け寄っていった。

千世子「ジャンケン!なんのジャンケン!千世子も、千世子もジャンケンする!」

神姫「大葉……ちゃんはしなくていいわよ」

千世子「ガーン…の、のけ者にされちたのだ」

摩耶「あはは、ちょこちゃん。違うよ。これはね今からひとっ走りして暖かい飲み物を買ってくる人を決めるジャンケンだったんだよ」

神姫「大葉ちゃんに買いに行かすのは流石にね。悠に好きなの頼んでいいわよ」
悠「え、みんな温かいぜんざいじゃないのか?」

神姫「珈琲の無党ね」

摩耶「僕はお茶の温かいの」

悠「へいへい。ぴよこは?」

千世子「いいの?」

悠「子供の遠慮は可愛くない。」

千世子「じゃあ、じゃあ、ホットレモン!」

悠「わかった。じゃ行ってくる」

神姫「あ、悠。ちょっと」

呼び止められて悠は振り返った。

悠「なんだ?」

神姫「(これ、珈琲代と大葉ちゃんの分)」

悠「(いいよ。このくらいは…摩耶のも俺が出すし)」

神姫「(いいから。)」

悠「(……わかったよ。でも、ちょこのは受け取らないからな)」

神姫「(それは最年長の私が…)」

悠「(神姫と摩耶は同い年だ。つまり、神姫がそこまで気を使う必要はない)」

神姫「(き、気なんか使って無いわよ)」

千世子「なにしてるの?」

悠「あぁ、神姫がさ俺と離れるのがさみしいって…っ!?」

千世子に見えない角度で神姫は悠の爪先を踏みつける。

神姫「一分以内に買ってきなさい。」

悠「一分は無理!行ってきます!」

床をへし抜かないばかりの勢いで廊下を走っていった。

神姫「はぁ…」

千世子「神姫ねーちんとあんちんは……こ、こいびと同士?」

神姫「私、そういうの興味ないから」

千世子「ぴぃ…ご、ごめんなさぃ…」

神姫「……」

千世子は摩耶の背後に隠れてぷるぷると震えている。

摩耶「あはは、別に怒ってないよね。九頭竜さん?」

神姫「怒ってないわ」

悠「はぁはぁ…た、ただいま」

千世子「あんちん、早い!?」

神姫「2分26秒…遅いわ。」

悠「む、無茶言うな…ほい、珈琲に、お茶に、ホットレモン…」

摩耶「悠くんありがとう」

千世子「あんちんありがとなー」

悠「お、おぅ……あ、自分の買い忘れた…」

神姫「愚かね。」

悠「走って身体ポカポカだもん!っか、暑…」

千世子「あんちん、あんちん千世子とわけっこするか?」

悠「ちょこは優しいな。じゃあひとくちって…もらったらなんかヤバイか?」

神姫「そうやって意識する思考がヤバイわよ」

摩耶「あは、考えすぎだよ」

悠「だよな。じゃあひとくち…ゴクッ、ふぅん。ホットレモンも悪くないな」

千世子「だろー!」

悠「ありがとな」

ナデナデ…ナデナデ…

千世子「は、はふっ…」

神姫「……」
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