ｰ教室ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「土蜘蛛で思い出したんだが……」

摩耶「妙な物で思い出すね」

雨「妙ってなによ。妙って」

神姫「なに?ガスで呼吸器を壊して殺す殺虫機でも思い出したの?」

雨「そこまで虫が嫌いか!!」

神姫「好きか嫌いかでカテゴライズするなら圧倒的にキライ」

雨「はっきり言いやがったわね……」

義鷹「スカスカで旨味もねぇしな」

雨「プルプル……!」

千世子「雨ちゃんを虐めちゃダメなのだ!!」

摩耶「そうだよ。この世には薄汚くても、虐めていい理由なんてないんだから」

悠「摩耶、なんでおれを見ながらいうんだ?」

摩耶「こういうときはとりあえず矛先を向けとけばいいかなと独自解釈しました」

悠「ん～～……おっけーね!」

亘理『いいんだ……。』

要「それで結局何を思い出したんだ?」

悠「ああ、土蜘蛛は、日本最古の歴史書「古事記」や「日本書紀」、地域の歴史が描かれた「風土記」にも登場するんだよ。ただ、これらの書物に出てくる土蜘蛛は妖怪じゃないんだよ。」

摩耶「悠君が人間種鬼族みたいなもの?」

神姫「人間だったゾンビじゃない?」

義鷹「人間止めた何かだろ」

悠「純真純潔純粋な人間だよ!!」

千世子「純粋じゃあないのだ。」

悠「うっせっ!」

要「心も狭い。」

悠「おれの心が狭かったら、世界の人間の……」

神姫「いいから話し進めなさいよ」

悠「あー……なんだっけ?」

摩耶「土蜘蛛」

悠「そうそえ、土蜘蛛は、人間の一族の呼び名らしい。土蜘蛛族は、背が低くて手足が長く、穴ぐらに住むとされる民族。っで、東北から九州まで日本各地に住んでたらしい。」

揺光【土蜘蛛というより螻蛄(おけら)の様じゃな】

神姫「虫ばっかりね」

雨「イライラ」

揺光【別に馬鹿にはされておらんじゃろうに。コンコンっ♪】

灼羅「完全に楽しんでるのじゃ」

悠「「土蜘蛛」って名前は、土蜘蛛族自身がつけた呼び名じゃない。これは、天皇を頂点に置く朝廷の人間が、天皇に従わない人々につけた蔑称だ。」

千世子「差別なのだ」

摩耶「今も昔、それはあるんだよね」

悠「おれなんか顔合わせだけで死ねっていわれることあるけど全然平気だ。」

神姫「差別云々じゃなく、いらない恨み買われてるだけじゃない?」

義鷹「そういう顔してるしな」

悠「こんなプリチーな顔に恨み買われる訳無いだろ。」

神姫「は?」

悠「真顔でメンチ切られた?!」

雨「百歩譲って童顔なだけであって決してプリティとかじゃないわね」

悠「えっ、カッコいいって?」

雨「誰も言ってない」

摩耶「あはは。それで話しは終わりなの?」

悠「えーと、朝廷は軍事力で土蜘蛛を滅ぼしたが、逆に土蜘蛛の祟りを恐れるようになった。恐ろしい土蜘蛛族の事を語り継いでいく過程で、土蜘蛛は人間の種族から異形の妖怪に変化した。洞穴に住む蜘蛛妖怪の土蜘蛛は、こうして誕生した訳だ。」

千世子「補足じゅぎょーだったのだ!」

悠「最後〆られた!!」