ー奇談ー學校へ行こう4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

神姫「暇?」

悠「……ナンデスカ?」

神姫「今夜暇かどうかを聞いてるのよ」

悠「なにデートのさそ……」

神姫「違う」

悠「はい来た、即答ぅーーーすっ!」

摩耶「今日は一段とテンション高いねぇー」

千世子「何かいいことあったのだ?」

【トモカヅキ】
いっしょに潜ろうあの世まで

悠「冷静に授業始めながら聞くなよ」

雨「いつも好き勝手話してる奴がよくいうわね」

悠「おれは話しながらでも聞く事はきいてるなりー」

神姫「それで暇なの」

悠「このあとラーメン喰いに行くから暇といえば暇だしー、暇じゃないといえば暇じゃないのよーん」

千世子「愛知県の南西、三重県から東につきだした志摩半島周辺には、ギザギザに入り組んだ海岸線が特徴で、海に潜って貝などを捕ってくる女性「海女」の本場として知られるのだ。」

神姫「なら、暇と取るわ」

悠「わーおっ……。」

神姫「っていうか、さっきからキャラがうざい。」

悠「てへぺろ」

神姫「……」

悠「もうし訳ございませんでした」

義鷹「なんなんだ……。」

千世子「この海女を専門的に狙う、トモカヅキという妖怪がいるのだ。志摩半島には貝を捕ることを意味する「かづく」という方言があるのだ。つまりトモカヅキとは「共潜き」、一緒に潜る妖怪という意味なのだ。」

悠「っで、暇としてなんなんスか?」

神姫「ラーメン、京も一緒につれてってあげなさい」

悠「がりゅーも?」

神姫「連休くらい……っていうか、もうすこし普段から気にかけたげろっていってるの。あの娘、悠と話して帰って来た日はものすごく上機嫌なのよ」

悠「ぁー……」

千世子「トモカヅキは曇りの日に現れるのだ。ひとりで海に潜った海女の前に現れるトモカヅキは、海女本人とそっくりの姿をしているのだ。海上に上がって見ても自分の船以外に船は無く、自分以外に潜っている海女がいるはずないのだが、再び潜るとやっぱり「そっくりな人」がいるのだ。」

摩耶「三流以下のそっくりも存在したりするけどね」

悠「何の話だ?」

摩耶「ううん、こっちの話し」

亘理『でも結局偽物だよね』

フェイト「偽物……」

要「偽物も本物も無いだろ。本人の気構えと意思と行動次第で何にでもなれるんだし」」

摩耶「悠君はどう思う?」

悠「あー……どうでもいいかなー的な感じかな。偽物うんぬん以前に半身がいるし。ま、でも……おれの場合、ひとの技の劣化コピーが多いし、あえてパクリサイコーといっておく」

千世子「そっくりな人ことトモカヅキは、につこり笑いながら海女に近づいてくるのだ。そして手に持ったアワビを差だしてくるのだが、このアワビを受け取ってはいけない。受け取ったら最後トモカヅキは海女の手を掴んで海中に引きずり込み、殺してしまうのだ。殺されないためには、トモカヅキに背を向け、後ろ手に受け取れば安全だといわれてるのだ。」

亘理『ところでさーがりゅーとか京ってだれ?』

揺光【悠の妻じゃ】

摩耶「お嫁さんだよ」

神姫「婚約者よ」

悠「口を揃えて答えんな!!」

千世子「海女はトモカヅキを避けるため、頭巾や服、道具などに魔よけのお守りをつけていたのだ。」

亘理『嫁ってなんなのよぉーー!!』

悠「いや、どうと言われましても……」

摩耶「そのままの意味だよね」

千世子「この魔よけは「ドーマンセーマン」と呼ばれるのだ。「ドーマン」は格子型、「セーマン」は星型の事で、その起源ははっきりしていないのだ。」

悠「摩耶、あんまり亘理をからかうな」

摩耶「あはは」

亘理『え、もしかして嘘?』

神姫「けっし嘘じゃないわよ」

千世子「しかし、その名である「ドーマン」は芦屋道満、「セーマン」は安倍清明という、平安時代中期の人物の名前が元となっているという説があるのだ。以上、トモカヅキのじゅぎょーだったのだ。」
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